レッグベイン
レッグベインとは

太ももやふくらはぎ、足首の周囲、膝の裏などにできる「網目状」「クモの巣状」の静脈瘤のことを一般的にレッグベイン(leg vein-下肢の静脈瘤)と称します。青や赤色の毛細血管が拡張したもので、基本的に健康上の問題はありませんが、放置すると症状が脚全体に広がることがあり、血管の痛み、むくみやだるさの原因になることもあります。このタイプの静脈瘤は、特に女性に多く見られます。
レッグベインの原因
レッグベインは、静脈内の弁が正常に機能しなくなり、体内の血液還流が滞ることによって引き起こされます。血液が滞留すると静脈内の圧が上がってしまい、その結果、静脈が拡張し瘤ができてしまうのです。弁が壊れてしまう原因として第一に挙げられるのは「加齢」ですが、他にも長時間立ちっぱなしの状態でいると過度な重力がかかり、弁に大きな負荷を与えると言われています。教師・調理師・美容師・看護師・キャビンアテンダントなど「立ち仕事」に従事されている方はレッグベインを発症しやすく、一度発症してしまうと進行が早いこともわかっています。
また、女性特有の原因として「妊娠・出産」を機にレッグベインを発症される方も多いようです。その他、「遺伝的な要因」によって発症するケースもあります。親族に静脈瘤を持っている方がいる場合、いない方と比べると発症しやすいことも分かってきています。
レッグベインの予防
静脈内の弁を守ることが、レッグベインの予防につながります。たとえば、バランスのとれた食事をとる、こまめに水分を摂取する、適度に運動する(ウォーキングなど)、十分な睡眠をとる、長時間同じ姿勢を続けない、こうした行動が有効な予防策として挙げられます。
体外照射レーザー(ロングパルスYAGレーザー)治療とは
以前は患部である静脈の中に直接硬化剤を注射して、血管内側の壁を癒着させる「硬化療法」が行われていましたが、硬化療法は赤や紫などの非常に細い(1mm未満)血管には適さない場合があり、かつ治療後に比較的高度の色素沈着が1~2年後残ることがあります。
当院のレッグベイン治療で使用するロングパルスYAGレーザー(G-YAGレーザー)は、細かいタイプの静脈瘤にも対応できます。シミの治療や脱毛の治療と同様に、治療対象となる血管に対して皮膚の上からレーザービームを照射して治療します。30分から1時間くらいの外来治療で実施でき、施術後も生活や運動の制限はありません。治療後弾性ストッキングを履く必要がなく、入浴も施術当日から可能です。軽い火傷の後のような反応(発赤、水泡、色素沈着)が一過性に生じる場合がありますが、硬化療法のように激しい色素沈着は生じませんので、体への負担も少なく美容的治療として優れていると評価されています。
日本では欧米に比べてレッグベインのレーザー治療を専門の立場で対応する医療機関が少なく、下肢静脈瘤専門を名乗る医療機関であっても、その多くは「治療する必要がない」「体質・個性だから気にする必要がない」などと患者さんに説明するのみで、治療ニーズに応えていないのが現状です。太い静脈瘤とレッグベインは併発している場合も多く、下肢静脈瘤の豊富な治療経験を生かし、硬化療法や血管内レーザー治療を併用して対処できるのが当院の強みです。

治療のメカニズム
体外照射レーザー治療は、皮膚を通過したレーザービームのエネルギーが血管の壁に伝わって血管を収縮させることにより静脈瘤を消すことができます。治療対象となる静脈瘤は生理的には殆ど機能していないため消し去っても特に問題はありません。レーザーの波長によって皮下に浸透する距離が異なりますが、静脈瘤の治療に適した十分なレーザー深達度を持つのは波長1064nmのレーザーです。体外照射レーザー(ロングパルスYAGレーザー)は、今まで治療ができずに諦める方が多かった細かい網の目クモの巣状の静脈瘤や血管拡張に対して、症状を改善することができる機械です。欧米においては効果が高いために広く普及しており、日本でもこれから飛躍的に普及していくと思われます。
<波長別レーザービーム深達度>

1064nmレーザーは赤、青どちらの血管に対しても十分なエネルギーを送れます。
| G-YAGレーザー | 硬化療法 | |
|---|---|---|
| 保険 | 保険適用ではない(自費診療) | 保険適用 |
| 費用 | 10センチ四方範囲の照射で11,000円 片脚全体だと11万円/回 |
片脚の治療で1回の治療費用約3,000円(3割負担の場合) +弾性ストッキングの費用5,500~11,000円 |
| 施術時疼痛 | 麻酔でコントロール | あり |
| 細かい静脈瘤への対応 | あり 赤や紫などの1mm未満の細かい静脈瘤の治療が可能 | なし |
| 弾性ストッキング | 不要 | 要 |
| 治療後の注意 |
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治療の流れと予約について
- 予約
お電話にて03-5411-2755にご連絡いただき、診察日時をご相談ください(初診時に治療も希望される場合は予約時にスタッフにお伝えください)。その際に、現在の症状をお伝え頂くとご希望に応じて、担当医からお電話でのカウンセリングを受けることができます。診察の上、治療法を決定し治療プランを立てます。 - 初診
でこぼこした血管と同様に、問診・視診・エコー検査を行います。初診の所要時間は概ね20分~40分程です(保険証をご持参ください)。血管外科専門医による診察・検査を行いレーザー治療による効果、適応があるかを判断いたします。場合によっては他の治療をご提案することもあります。 - オリエンテーション
ご希望に応じて次回レーザー治療のご予約、オリエンテーションを行います。治療に関するご不安点についてはご納得がいくまでご説明いたします。 - 施術
ご予約日にご来院いただき、体外照射レーザー(ロングパルスYAGレーザー)にて施術を行います。施術時間は30分~90分程です(照射範囲によって異なります)。
① 照射部を冷やし、痛みを軽減させながらレーザーを当てていきます。症状によって照射モードを変化させます。
② 軟膏を塗り、再度全体を冷却したら完了です。 - フォローアップ
治療後1か月~6か月後にフォローアップを行います。追加の治療の必要があるかなどご相談ください。
治療時のご注意
- 圧迫ストッキングを着用する必要はありません。
- 腫れるなどのダウンタイムがありませんが、複数回施術を必要とする場合があります。その際1ヶ月以上間隔を空けてください。
- 炎症後の一過性色素沈着を回避するため、施術前後、1ヶ月以上は日焼けを避けてください。
- レーザー照射により症状は改善しますが、完全に症状が消失しない場合があります。その際、他の療法(硬化療法・IPL療法)などを追加することがあります。
- 炎症反応からかゆみや色素沈着が起こる場合がありますが、皮膚のターンオーバーが進むにつれて沈静化します。
監修医師
| 監修医師 | 北青山D.CLINIC院長 阿保 義久 (あぼ よしひさ) |
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| 経歴 |
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| 所属学会 |