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表在性静脈血栓症発症の季節変動

背景

過去の研究で下肢静脈瘤に起因する症状の頻度と重症度は夏場に増加することが示されてきた。しかしながら、表在性静脈血栓症を含めて下肢静脈瘤の合併症に関するデータはない。この研究の目的は表在性静脈血栓症が季節性に発症するという仮説を確認することである。

対象と方法

2007年1月から2008年12月までの2年間の、123名(60名女性、63名男性)の表在性静脈血栓症の患者が評価対象となった。8名(6.5%)に他の病因が認められた。5名において血栓が上行して深部静脈系まで進展し表在性静脈血栓症が複雑化した。これら5名のうち4名で表在性静脈血栓症は膝上に認められた。

結果

表在性静脈血栓症は、5-10月が他の残りの時期に比べて多く発症した(5-10月:月平均7.3例、他:月平均2.9例)。表在性静脈血栓症は6月と7月が発症ピークで、全表在性静脈血栓症の33.3%がこの2か月間で認められた(月平均10.25例)。時間統計学を用いると表在性静脈血栓症は周期的季節型を示した(p=0.03)。この季節型は全てのサブグループで認められたが、男性と膝下の表在性静脈血栓症において特に顕著だった。

結論

表在性静脈血栓症は明らかに季節型の発症を示し、特に夏場には増加した。この理由としては、暑い地中海式気候においては患者さんが弾性ストッキングを適切に使用しないことが可能性として挙げられるが、表在性静脈血栓症の原因、臨床的意義そして予防法についての更なる研究が求められる。

ジャーナル

Seasonal variations in incidence of superficial venous thrombosis.Thromb Res.. 2010 Aug;126(2):98-102