椎間板ヘルニアになる原因はどこにある? 3pldd-doctor-blog

かなり間があいてしまいましたが、この話題の3回目は”使い方(の偏り)”です。
ある部分では”姿勢”と共通する部分でもあります。

人間には(人間でなくても)利き腕、利き足というのがあるように
だれしも左右均等に機能しているわけではありません。
立っているときに体重をかける足も
座っているときに組む足も
呼び止められて振り向く向きも
バッグを持つ手やかける肩の方向もおおよそ決まっています。
自分にとってできるだけ楽な慣れた動作を繰り返す傾向が人にはあり
これはある意味、効率的な動作の獲得でもあるのですが
それは裏を返せば何か動作をするときに
“同じ場所”ばかりを使っているということにもなります。

わかりやすいのはアスリートなどの例かも知れません。
右でも左でも投げたり打ったり蹴ったりすることはできても
“得意な方”というのが必ずあるはずで、動作はやはりそちらに偏ります。
彼らはすぐれたパフォーマンスを実現するために日々気の遠くなるような反復練習を行っています。
よく使う部分の筋肉が特に肥大したり、左右の手足の長さが違うなど
というような話は耳にしたことがあるかも知れません。
そのような体の変化は見える所だけでなく、
見えない体の中にも当然のことながら起こっているのです。

アスリートの方たちは自身の体が消耗することを覚悟してやっておられるのでしょうが
今までに私が直接所見をみさせてもらった方々のほぼ全てにおいて
やはりパフォーマンスを反映した形態の変化が生じています。
この変化は”そのこと”をなすためには良いことなのかもしれません。
しかし、日々日常生活を過ごしていく上では多少不具合のある変化であったりします。

そうした形態の変化はなにもアスリートだけに起こることではありません。
日常生活のプロ?である皆さんにも同じように起こっているのです。

人の体も物質なので必ず劣化します。
もちろん生物ですから自己の傷害を修復する能力ももっていますが
その能力にも限界があります。
でなければ人は老いも死にもしないってことになりますからね…。

体を起こす、立ち上がる、歩くなどの日常生活動作は
思った以上に多くの回数行います。
ほとんど1日中動かないという人であっても
寝たきりでなければ数百歩は歩いています。
つまり最低数百回はその人の癖に従った動作で歩いていることになります。
それを365(or366)日×?年、繰り返しているわけですから
それが良い癖ならよいのですが、悪い癖であったなら
非常に不都合な変化をきたしてしまうだろうことは容易の想像できるでしょう。

多くの場合、その人の置かれている立場、
ほとんどは仕事の内容によって規定されることが多いと思います。
デスクワークが多い→座っていることが多い、
中腰が多い、立ちっぱなし、じっとしていることが多いなど
その人特有の動作の傾向があり、これによって背骨にゆがみや傾きが生じます。
体重が重たいという要素は椎間板や骨がつぶれる原因になっています。

良くも悪くも小さなことの積み重ねはゆくゆく大きな変化をもたらします。
そういった意味で、日ごろの何気ない動作に注意を払い
不必要な力みをなくして体にストレスの少ない動きに気を配ることは
背骨や椎間板をいたわる結果にもなるのです。

ただ難しいのはどのような姿勢や動作が無理のない動作なのかを
的確に指導してくれる人がなかなかみつからないということです。
就業時を含めて日常生活動作には個別性が高いので
絶対的なstandardというものを示しづらいということが根幹にあるとは思いますが…。
この問題を解決できるようになるためには
まだまだ時間がかかりそうです。