椎間板ヘルニアになる原因はどこにある? 1pldd-doctor-blog

多くの成書で椎間板ヘルニアの原因は”不明”と書かれています。
時々尋ねられるのですが
生まれつき椎間板自体が弱いなど遺伝的な要素を持つ椎間板ヘルニアは
非常に限られた数であると思っていただいて構いません。

ただ基本的な考え方として
無理な力がかかったときになりやすいのではというアイデアは
誰の頭にも浮かぶのではないかと思います。

無理な力が”けが”という形で発生することもありますが
おおよそけがとは言えない程度の動作で
“グキッ”とくることもあるという経験?は
ヘルニアを体験したことがある人であれば
分かっていただけると思います。

というわけで
今回を含め何度かに分けて
椎間板ヘルニアになる原因について考えてみたいと思います。

診療をしていてよく思うのは
椎間板ヘルニアで来院される方には一定の特徴があるということです。
それはよく考えれば(よく考えなくても?)
そりゃそうだと思われるものばかりなのです。

まず1つ目は、”姿勢が悪い”ということ。
「子供の頃から姿勢が悪いって言われてたからね…」
というセリフを患者さんからよく聞きますが、
姿勢が悪いとそれを支える背骨の”ある限られたところ”に
負担が集中しやすくなります。
本来は全体で力を分散して担うような構造なのに
一点?集中してしまうと、支える力の限界を超えてしまい
構造的に骨や軟骨より弱い椎間板が壊れてしまうというわけです。

「姿勢が良すぎて腰が悪い…」
と言った患者さんがいたのですが、これは矛盾しています。
良い姿勢とは長く立っていても座っていても
つらくない姿勢であるはずだからです。
気をつけをして、腰を反り、胸を張る姿勢は
堂々としていて見栄えがし、恰好よく見えるため
これがよい姿勢だというのが皆の共通認識になっているのだと思いますが、
これは腰や首にとってはつらい姿勢だと思われます。

じゃあどういうのが”良い姿勢なんだ”と思われるかもしれません。
これは言葉では非常に説明しづらいものですので、
後日改めて書いてみたいと思いますが、
イメージ的には昔の剣豪みたいな立ち姿と申しましょうか
どこにも力みがない、偏りのない立ち方といいますか
そういったものが背骨には優しい立ち方であると言えます。

逆に悪い姿勢の代表は
猫背でおなかを突き出したような立ち方です。
猫背になると背中の筋肉が非常に疲労しやすくなるせいかバランスをとるためか
少しお腹が出気味になる傾向があり
そうなると首・腰に大きな荷重がかかるようになってしまいます。

肥満でお腹が出ている人も同様で
お腹が張っているのでお腹を引っ込めて姿勢を維持することが難しくなり
お腹を前に出して立ったり座ってりしていることが多く
ほぼ猫背の人と同じような姿勢になってそのせいで腰に大きな負担がかかり
ひいては首・腰を悪くしてしまいます。

姿勢の悪さは起きて活動している間中作用し続けるため問題としては根深く、
その矯正には年数がかかることから即効性は期待できないのですが、
根本的にはこの問題をクリアしないといつまで経っても
首・腰を壊す恐怖からは逃れられないということになりかねません。

日頃の小さな積み重ねが悪い方向に作用する典型的な例の一つだと思います。