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静脈血栓症と静脈瘤は同様に家族性に発症する:スウエーデンの国家規模の家族調査

背景

静脈瘤は深部静脈血栓症と関連しているが、これらの疾患が家族性に発症する点で同様であるかについては知られていない。この国家規模の研究は、深部静脈血栓症が静脈瘤と同様に家族性に発症するかを確認することを目的とした。

方法と結果

スウエーデンの1964年から2008年までの0歳から76歳に及ぶ多世代の登録データは、Swedish Inpatient Outpatient Registers(スウェーデンの入院・外来患者登録)に収められていた。静脈血栓症と静脈瘤の家族性発症リスク(標準化発症率)は2種類の方法で(双方向性に)調査された。つまり、同胞に下肢静脈瘤と診断されたものがいる者の深部静脈血栓症発症のリスクと、同胞に深部静脈血栓症と診断されたものがいる者の下肢静脈瘤発症のリスクが調査された。調査は成人期に家庭環境を共有することが影響するかどうか確認するために配偶者に対しても同様に行われた。総じて、96810人が静脈瘤を、87564人が静脈血栓症を有していた。静脈血栓症発症が増加するリスクは、その同胞が静脈瘤を有する者において、標準化発症率:1.30、95% Cl 1.26 -1.33 であったのに対して、同胞が静脈血栓症を持つ者が、静脈瘤発症が増加するリスクは、標準化発症率:1.30、95% Cl 1.27 -1.34 であった。二人以上の同胞者が静脈血栓症を発症していると、静脈瘤の発症リスクは1.70(95% Cl 1.53-1.88)だった。逆に、二人以上の同胞者が静脈瘤を発症していると、静脈血栓症の発症リスクは1.52(95% Cl 1.38-1.67)だった。静脈血栓症を有する配偶者において、静脈瘤の発症リスクは小さかった(標準化発症率 夫1.05 妻1.06)。静脈瘤を有する配偶者における静脈血栓症の発症リスクも同様に小さかった(標準化発症率 夫1.01 妻1.05)。

結果

下肢静脈瘤の患者の中で深部静脈血栓症が認められたのは2357人中132人(5.6%)、下肢静脈瘤のない患者群では80588人中728人(0.9%)だった(p<0.0001)。深部静脈血栓症の発症リスクは、深部静脈血栓症の既往、過去6か月以内の入院歴、悪性疾患そして年齢により増強された。

結論

静脈瘤と静脈血栓症は同様に家族性に発症する。この新しい発見により、恐らく遺伝的要因の共有が背景にあることが示唆された。

ジャーナル

Venous thromboembolism and varicose veins share familial susceptibility: a nation wide family study in Sweden. J Am Heart Assoc. 2014 Aug 26; 3(4)