レーザー治療(PLDD)とは?
レーザーを照射し髄核の一部を蒸発させ
空洞をつくる
PLDDとはPercutaneous Laser Disc Decompression(経皮的レーザー椎間板減圧術)の略で、椎間板内にレーザーファイバーを刺入し、飛び出したヘルニア部位の髄核(椎間板内のゼラチン状の物質で衝撃を和らげる働きを担う)にレーザーを照射することで蒸発消失させ、ヘルニアが神経を圧迫する力を減らして症状を改善させる治療法です。
薬物治療や仙骨ブロック治療など手術以外の身体に負担のかからない治療法を試みて、効果が不十分な場合に行います。
空洞ができたことで神経根を圧迫してい
た髄核圧が下がる。またレーザーには消
炎鎮痛効果があると考えられている
PLDDは、治療直後にヘルニアをなくしてしまう治療ではありませんが、レーザーを照射して空けた空洞は時間とともに縮退・消失し、これに伴って椎間板ヘルニアが縮小していきます。一般的には軽度~中等度、いわゆる通常の外科的手術(内視鏡手術を含む)までは必要のない椎間板ヘルニアに対して治療の適応があり、日帰りで行うことのできる簡便で安全性の高い治療ですが、慢性の椎間板ヘルニアに対しては効果の即効性に欠けることもあり、この点が今後の課題と言えます。
従来、椎間板ヘルニアの治療では、腰椎だと2~4週間、頸椎だと4~6週間の入院治療とリハビリテーションが最低必要でした。
レーザーによる経皮的椎間板減圧術PLDDは、治療の適応範囲は広くはないのですが、10〜20分のレーザー照射により治療が可能で、適切な症例に実施すると治療成績は非常に良好です。局所麻酔で実施でき日帰り治療(1~2時間の在院)が可能であることが最も大きな利点です。
椎間板ヘルニアの全症例がPLDDで根治できるわけではありませんが、腰椎疾患は複雑な場合が多く根治的手術は体に大きな負担をかける場合がある中で、身体へのダメージが極めて小さいレーザー治療(PLDD)の存在意義は大きいと言えます。
脊柱管狭窄症やすべり症など、手術で治療をする場合相当大きな負担がかかるような疾患で椎間板ヘルニアによる症状も疑われる場合は、最初に大きな手術を選択せずに負担の少ないPLDDでヘルニアの症状の改善を図ることで生活の質が大きく向上する場合もあります。すなわち、身体的、時間的、精神的負担や入院による負担の大きな手術を回避して問題が解決される可能性があります。
一方でPLDDは保険診療ではないため経済的負担が大きいという欠点はありますが、適応を選定して治療の目的を正しく設定すれば、安全かつ負担の小さい有効な治療であると言えます。
レーザー治療(PLDD)の成功率
治療適応症例に最適な治療を施すことにより、当院のPLDDの症状改善率は90.3%以上になっています。
※PLDDの奏効率は一般的には60%程度と報告されています。
治療適応外に対する症状改善率は小さくなります。
治療前 | 治療後 | |
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腰椎5番-仙椎1番間の椎間板ヘルニア | 同部位のヘルニアが退縮 |
治療前 | 治療後 | |
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正中やや左寄りに突き出るヘルニア | ヘルニアが退縮し、 神経孔 (脊髄から神経の出口)が開存 |