椎間板ヘルニアの治療方法

椎間板ヘルニアの治療法は大きく保存的方法、侵襲的方法(手術治療)に分けることができます。 ここでは椎間板ヘルニアなどの治療法についていくつか触れたいと思います。

目次

保存的治療

ある特定の症状が発症時から出現している場合を除いて この方法から治療が開始されるのが通常です。具体的には安静・固定・理学療法・運動療法・投薬などによって症状を緩和し、症状の緩和、患部の自然回復を期待する方法です。 以下にそれぞれの治療について解説します。

※各項目の数値は目安であり、実際は患者の状態や施設の方針によって異なる場合があります。
保存的治療    費用   改善見込   詳細(方法・効果・適応など)
安静 安価 詳細
固定 安価 詳細
理学療法 × 詳細
運動療法 × 詳細
投薬治療 詳細
神経ブロック 詳細

椎間板ヘルニアによる症状はその人に特有の動作や姿勢によって増悪することが多いため、症状が強い時には症状の再燃を予防するために動かないことを目的とした安静を第一に考えます。
特に症状の発生から間もない頃は患部の炎症と相まって余計な神経への損傷を予防するためにも安静が望まれます。椎間板ヘルニアの場合、仰臥位(仰向け)や患部側(症状がある方)を下にすると症状が悪化することが多く、症状を持つ方を上にして寝る側臥位(横向き寝)で症状が軽減することが多いようです。

いわゆる"コルセット"や"ネックカラー"といった固定装具を一時的に装着することによって患部の可動域(動かせる範囲)を制限し、臥位を保たなくても症状が出にくくするものです。
硬さを持った装具によって動きを制限するだけではなく、腰の場合、腹圧がかかるように締め付けることによって体幹の支持力を増強させることができるため固定の仕方によってはかなり症状の発生を抑止できることもあります。 ただ、患部の場所によっては固定が難しかったり、かえって症状が出やすい方に椎体を曲げてしまうこともあり、必ずしもすべての人に良い方法とも言えません。 また、長期間、こうした固定装具をつけ続けることは、椎体(背骨)を支える筋力の低下を誘発してしまう可能性があります。

一般的によく知られる"けん引" "温熱療法" "低周波・高周波電気治療"などによる治療法。
"けん引"治療は日本ではかなり以前から使用されている治療法で狭まった椎間板の幅を広げるような力をかけ陰圧(引っ張る力)を発生させることによって神経への圧迫を一時的に解除しようといったことを目的とした方法のようですが、実はその治療的根拠についてはっきりと証明されたデータは未だありません(治療意義はあるのかもしれませんが、そのことを医学的にきちんと証明した報告がみられない)。患部を温めたり、電気をあてるといった方法は炎症を起こして固まった筋肉や周辺組織の緊張を緩和することによって、痛い→緊張→痛みを増す→さらに緊張が増すといった悪循環を断ち切ろうとするものです。これらの方法も根本的な治療というよりは悪化した周辺の状況を改善することによって、原因の改善を促す方法といえます

いわゆるリハビリテーションなどによる治療方法です。
圧迫が軽減する方向に力を逃がしながら患部に陰圧をかけるようにして改善を促し椎体を支える筋力をつけ負担がかかりにくい姿勢や動作を覚えることは最終的には良い結果をもたらすことも少なくありません。 比較的消極的な治療法である安静と比較するとより積極的に改善を促す努力をするという意味で攻めの治療ではありますが、殆どの場合、痛みに耐えつつ行う治療でもあるため、他の治療と比較して比較的苦痛も強いられることも事実です。

症状を緩和させる手立てとして最も一般的な方法です。鎮痛剤(痛みどめ)、筋肉の緊張を緩和する薬剤、神経の回復を促すもの、神経痛に対する薬剤などを使用し、つらい症状を薬の力でやわらげて、患部の炎症が軽減し、椎間板ヘルニアによる神経への圧迫が回復することを目的とします。鎮痛剤は消化器系の問題を生じることも多く、消化器を保護する薬剤を合わせて処方することが一般的です。
鎮痛剤の種類は非常にたくさんありますが、一般的に処方されるものであっても個人によっては効果が得られにくいものもあり、薬の種類についてはある程度個別に検討していくことが必要となることも多々あります。 投与形態としては内服(薬を飲む)、坐薬(肛門から挿入)が一般的ですが、つらい疼痛の場合、坐薬を使用する方が疼痛の緩和が得られることが多いような印象もあります。

保存的治療の中でもより積極的なのが神経ブロック治療です。麻酔科が専門とする治療ですが、それぞれの科が関わる疾患にこの手技が必要であることも多く、麻酔科医でなくても行うことがあります。ペインクリニックと名がつくところが主にこうしたブロック治療を専門としています。治療の内容としては痛みを感じる場所もしくは原因となる場所に局所麻酔薬や抗炎症薬を注入し、感覚の伝導を阻害(ブロック)することによって症状を緩和するもので、多くのアプローチ法があります。
椎間板ヘルニア様の症状緩和によく用いられるものとしてトリガーポイントブロック、硬膜外ブロック(仙骨部ブロックもこの範疇)、神経根ブロックなどが代表的です。トリガーポイントブロックは、痛みを感じている場所そのものに局所麻酔薬を注入する方法でそれほど専門的な解剖学的な知識がなくても行うことができ、手技も簡便なので多くの医療機関で行われています。ただ、原因そのものにアプローチしているわけではないため対症療法的な側面がどうしても強くなります。 脊椎に関する知識が必要な硬膜外ブロックは脊髄神経を覆い守っている硬膜という膜の外側に麻酔薬を注入浸潤させることによって症状を緩和するものですが、より高度な穿刺手技と解剖学的な知識を要し、薬液を注入するためには狭い範囲に差し当てなければならないなどのことからやや難易度が増します。ただ、原因となる神経により近いところに薬剤を注入することができるため、トリガーポイントブロックと比べて効果を得られる可能性は増します。 神経根ブロックは症状を引き起こしている原因部位である神経根部に直接ブロックを施す方法で、より専門的な知識と透視装置などの機器を必要とするため、専門性の高いペインクリニックなどで行われることがほとんどの手技です。ただ、症状を出している場所そのものに特異的にブロックをかけるため効果が得られる場合は非常に”効きがよい”手技だといえます。 お気づきのように神経ブロックでは局所麻酔薬を使用しますが、どんなに作用時間の長い局所麻酔薬でも1日程度であるにもかかわらずもっと長い間効果が持続することがあります。これは痛みに関する悪循環を改善させることによって薬理効果持続時間以上の効果が得られるとするブロック治療そのものの治療意義を反映しています。 入院治療として硬膜外に薬剤投与用の細い管を留置し持続的に麻酔薬を注入するブロック治療も行われています。麻酔薬による治療なのでどのような疼痛性疾患に対しても必ず効果が得られるような印象を持ちますが、必ずしも効果が得られるわけではなく、まったく効果を感じないという方もいらっしゃいます。これについては手技自体の問題、疼痛の原因そのものによるものなど、疼痛性疾患特有の問題も絡み原因がはっきりしないものも非常に多く存在します。

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外科的治療とは

切開や穿刺を加えて病変に直接アプローチし、摘出・切除・切削・固定などを行う治療を「外科的治療」と呼びます。ただし、実際に手術まで至る患者さんは多くはありません。これは椎間板ヘルニアの自然経過により症状が改善する例が少なくないことに加え、医療の原則であるリスク・ベネフィット バランス(治療の利益がリスクを上回るときに治療が正当化されるという考え方)に基づき、比較的低侵襲な保存治療を選択するケースが多いことによります。

手術適応が慎重に判断される理由

手術には、頻度は低くても必ず手術特有のリスクが存在し、長期的には予期しない不利益が生じる可能性も否定できません。そのため、外科的治療には通常、厳密な適応条件が設けられています。絶対的な手術適応は、膀胱直腸障害などの馬尾症状(比較的重篤な神経障害)を認める場合です。一方で、実際には多くの患者さんが痛みやしびれなどの感覚障害のみであり、このことが初期段階で手術が第一選択とならない大きな理由となっています。相対的適応としては、感覚障害のみであっても、長期間にわたり日常生活のQOLを著しく損ねる場合に手術が検討されます。

※ヘルニアのタイプと治療範囲は下記の通りです。全てのヘルニアに全ての手術が適用されるわけではありません。 詳しくは手術の選び方をご覧ください

髄核の一部が移動していますが、線維輪は正常な構造を保っています。 髄核が線維輪を突き破って脱出し、後ろの靭帯を持ち上げています。 髄核が後ろの靭帯も突き破り、脊柱管内にその一部が移動しています。 突き破った髄核の一部が破裂し、断裂した髄核が
脊柱管内に遊離しています。
<適応手術>
・経皮的髄核摘出術(PN法)
・経皮的レーザー椎間板減圧術(PLDD)
・経管的椎間板切除術
<適応手術>
・経皮的髄核摘出術(PN法)
・経皮的レーザー椎間板減圧術(PLDD)
・経管的椎間板切除術
<適応手術>
・経皮的レーザー椎間板減圧術(PLDD)
・内視鏡下ヘルニア摘出術
・ラブ法・顕微鏡下椎間板摘出術
<適応手術>
・内視鏡下ヘルニア摘出術
・ラブ法・顕微鏡下椎間板摘出術


原則的に局所麻酔で行う治療。背部に直径4mm程度の管を刺入し、特殊な鉗子を用いてX線透視下 (もしくはMR透視下)で椎間板の一部(髄核)を摘出する手術。 髄核摘出により椎間板内容積を減らし、全体の内圧を減少させ症状を軽減させます。 手術時間は30分~1時間程度。日帰り手術として行われることもありますが、近年は他の治療の進歩により実施されることが少なくなっています。

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局所麻酔下にて行う治療。治療原理はPN法と同じで、椎間板内容積を減らすことによって神経への圧迫を軽減することを目的とした治療です。腹臥位(うつ伏せ)にて透視装置下に治療針を刺入。椎間板内を切削するワイヤーを回転させることによって椎間板外に切削した内容物を取り出し減圧を促します。物理的な摘出容積が確認できるのも利点。日帰りで行うことができる治療ですが、PLDDと同様に保険適応されておらず、国内ではごく限られた施設でしか受けることができません。近年あまり見かけなくなってきました。

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経皮的オゾン椎間板減圧術(PODD)


椎間板ヘルニアや腰痛の治療に用いられる低侵襲の治療法の一つ。局所麻酔下に細い針を椎間板内に刺入し、オゾンと酸素を混合したガスを注入することで治療を行います。
オゾンの酸化作用によって椎間板の髄核の縮小を促し神経への圧迫の軽減を図る方法。またオゾンには抗炎症効果もあるとされます。基本的には日帰りでの治療です。 すべてのタイプの椎間板ヘルニアに効果があるわけではありませんが、椎間板ヘルニアのほか、脊柱管狭窄症や椎間板変性症、腰椎すべり症、脊椎手術後の慢性疼痛(FBSS)などにも適応されることがあります。 副作用としては、腰痛や痺れ、感染症などが報告されています。

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局所麻酔下で行う治療。治療原理とはPN法とほぼ同じですがより低侵襲な治療法。 側臥位(横向き寝)で、X線透視下に椎間板に穿刺針を刺入。穿刺針内からレーザーファイバーを椎間板内に挿入し位置を確認しながら椎間板内にレーザーを照射。髄核を蒸散して椎間板内容積を減少させ、レーザーの熱による線維輪の縮小作用により体積減少を促して減圧して症状を緩和します。レーザー照射部位では治癒機転が亢進し長期的な椎間板機能の改善、再生が期待できます。針を刺入して行う方法であるため、切開を伴わず、治療時間も数分~十数分と短時間で治療でき日帰り手術として行われています。レーザーの種類、波長の調整、レーザーファイバーの加工技術の進歩などより、より精密な治療が可能となっています。かつては高度先進医療認定を受けている治療でしたがその適応からは外れ現在は保険適応外治療です。

北青山D.CLINICの椎間板ヘルニアレーザー治療(PLDD)※

当院では、以下の理由で椎間板ヘルニアレーザー治療(PLDD)を提供しています。
・椎間板ヘルニアの圧迫部位をピンポイントに減圧することが可能 
・短い期間で減圧効果が得られやすい 
・脱出型椎間板ヘルニアにも症状改善効果が得られることがある
・薬剤によるアレルギー、副作用の心配がほとんどない
・日帰り治療

北青山D.CLINICの実際のPLDD手術(動画)

※注:このページ内の「経皮的レーザー椎間板減圧術(PLDD)」については、当院サイト内では「椎間板ヘルニアレーザー治療(PLDD)」と表示しています。

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一番クラシカルでオーソドックスな手術法。全身麻酔下で行う手術。腹臥位で背中側から5~6センチ程度切開し腰椎の一部を削り、靭帯の一部を切除してヘルニアを摘出します。近年は顕微鏡下手術の発達により安全性が増し、比較的小さな傷口で手術を行うことができるようになってきています。また、靭帯の再建など正常構造物を回復させるような手段も発展してきています。 手術時間は1~2時間程度。術後経過にもよりますが1~3週間程度の入院期間が必要。

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いずれも内視鏡を用いた脊椎手術の方法で一番広い範囲の脊椎疾患に対応する術式をFESSと呼び、椎間板にアプローチするものがPELD/PED、MED、FEDです。局所麻酔で対応ができることもありますが神経の近傍に操作を加える性質上、安全に手術を実施するために基本的には全身麻酔下で行われます。皮膚切開が従来よりもかなり小さく行われるため入院期間も短く済み早期の社会復帰が可能となるメリットがあります。

【PELD(経皮的内視鏡下腰椎椎間板摘出術)/PED(経皮的内視鏡下椎間板摘出術)】
どちらも経皮的内視鏡下腰椎椎間板摘出術を指します。
PELDは「腰椎(Lumbar)」を意味する言葉が正式名称に含まれますが、近年では脊椎全般への内視鏡手術が普及したため、腰椎に限定しない「PED(Discectomy)」の名称が使われることも多くなりました。

【FED(Full-Endoscopic Discectomy)】
腰椎椎間板ヘルニアに対する低侵襲の内視鏡治療法。内視鏡操作のみで完遂する手術をFEDと呼びます。
小切開で行い、条件によっては局所麻酔での実施も可能。これにより、全身麻酔に伴うリスクを回避るため既往症などから全身麻酔下での手術が難しい患者さんにも適応できることがあります。ただし、この治療法はすべてのタイプの椎間板ヘルニアに適応できるわけではなくヘルニアの発生部位や突出の状態によっては、他の手術法が適している場合もあります。 リハビリや姿勢・生活習慣の見直しなど、継続的なケアも重要です。

【MED(Micro Endoscopic Discectomy)】
腰椎椎間板ヘルニアや脊柱管狭窄症などに対して行われる低侵襲手術の一つ。PED(経皮的内視鏡手術)などよりも早い時期に開発され、現在も症例によっては使用されることがあります。
従来の顕微鏡手術よりは皮膚切開は小さいもののPELD/PEDなどと比較すると切開部は大きく、その点からも近年はほかの術式に替わられようとする傾向はあるものの、切開範囲が広いことにより術野を広く取りやすく複数の手術器具を同時に導入できることから、より高い安全性を持ち広い範囲の病変に対応することが可能です。入院期間は5日~10日ほどが標準的です。

【FESS(完全内視鏡下脊椎手術:Full-Endoscopic Spine Surgery)】
内視鏡のみを使用して行う低侵襲な脊椎手術。腰椎椎間板ヘルニアや頚椎症性神経根症、頚椎椎間板ヘルニア、脊柱管狭窄症など、さまざまな脊椎疾患の治療に対応することが可能です。
手術の概要はPELD/PED,FEDなどと同様ですが、椎間板ヘルニアだけではなく、他の変性疾患に対しても行うためこの名称がつけられています。内視鏡だけで行う手術であるため早期の社会復帰が望めむことが可能です。保険適用の治療です。

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椎間板に対する再生医療には、幹細胞治療、PRP療法、DRT/PDR法、バイオマテリアルを用いる方法などがあります。中でも幹細胞治療は、神経再生・炎症の抑制・痛みの軽減が期待される再生医療です。投与された幹細胞から放出される成長因子やエクソソームにより慢性炎症が抑えられ、損傷組織の修復が促されます。また、幹細胞自身も必要に応じて分化し、神経・血管・軟骨などを再生して組織修復に直接関与し得ることが特筆されます。
臨床研究では痛みスコアの大幅な改善やQOL向上、さらに手術回避につながる可能性も報告されています。腰・臀部・太もも・ふくらはぎ・足・首・肩・腕・手などに生じる痛みやしびれなど慢性神経症状に対応でき、椎間板変性・椎間板ヘルニア・脊柱管狭窄症など、椎間板ヘルニアレーザー治療(PLDD)などの手術適応外の方にも提供が可能です。
幹細胞の培養には一定の期間を要しますが、投与そのものは短時間で実施できます。安全性も高く、拒絶反応はほとんどありません。一方、自費診療となるため費用負担が生じる点と、個人差や長期的な安全性・効果については研究が進行中である点には留意が必要です。

当院では、厚労省の認可を受け自家脂肪由来幹細胞による再生治療を実施しています。患者さん自身の脂肪から幹細胞を採取・分離・培養し、椎間板や脊椎周囲に注入、効果的に炎症・神経炎症の抑制、痛覚伝達物質の制御、損傷組織の修復を促します。「原因となる組織の再生」や「炎症の根本的な抑制」を目指す抜本的な治療です。痛みやしびれの症状の改善や機能回復を目指す方に、身体への負担が少ない革新的な選択肢としてご検討ください。
・日帰り治療 ※幹細胞の培養には約1~2か月を要しますが、投与は外来で行います
・患者さん自身の細胞を投与するので安全性が高く副作用がほとんどない
・点滴、局所注射の他、椎間板ヘルニアレーザー治療(PLDD)治療実績を活かしたCアームを用いた透視下での投与が可能
・治療適応が広い(しびれや痛みといった慢性的な神経症状がある方全般が対象)
・成長因子やエクソソームによる抗炎症・修復の間接的効果と共に、幹細胞の分化能による直接修復効果がある

北青山D.CLINICの再生医療の詳細

ヘルニコア(椎間板内酵素注入療法)


主成分である酵素「コンドリアーゼ(商品名:ヘルニコア)」を椎間板内に注射することで、ヘルニアによる神経圧迫を軽減する治療法。
ヘルニコアが椎間板の髄核に含まれる保水成分「プロテオグリカン」を分解することで髄核の膨張を抑え、椎間板内の圧力を低下させ効果を発揮します。 適応は、膨隆型(椎間板が盛り上がって神経を圧迫しているタイプ)の椎間板ヘルニアの方で髄核が脊柱管内に脱出しているようなケースや、頸椎・胸椎のヘルニアには適応されません。 一般的には1〜3か月の経過観察を要しますが、治療後1か月程度は、椎間板の融解による一時的な不安定性から腰痛が強くなることがあります。また、アレルギー体質の方には注意が必要で、アナフィラキシー(蕁麻疹、かゆみなど)のリスクがあり、安全性の観点から、この治療は一生に一度しか受けられません。さらに、治療を受けられる医療機関にも限りがあります。

セルゲル法(Cellgel Treatment)


椎間板内に「ディスコジェル」というゲル状の薬剤を注入することで、椎間板ヘルニアなどによる腰痛、首の痛みに対する治療法。
局所麻酔で行われ注入された薬剤は椎間板内で水分を吸収しながら広がり内部の圧力を下げて神経圧迫の緩和を促します。この治療で使用されるディスコジェルは2007年にフランスで開発されましたが、日本では未承認の医療機器のため現在は個人輸入の形で使用されています。 副作用としては薬剤に含まれるタングステンなどによるアレルギー反応の可能性があげられ、将来の追加治療が制限される懸念などがあります。 重度の椎間板ヘルニアや脊柱管狭窄症など、症状の進行が強い場合は適応外となるのが一般的です。

DRT(Disc Regenerative Treatment/経皮的椎間板再生療法)


椎間板の損傷や変性に対して患者自身の体内から抽出した成分を利用して行う治療法。
患者さん自身の血液を遠心分離して抽出した「濃縮血小板由来成長因子(CPG因子)」を患部に注入し、免疫反応を活性化し、椎間板の修復促進を期待する方法。生物学的製剤として、椎間板の構造と機能を補強する成分や、幹細胞治療を併用する場合もあります。 患者さん自身の体内成分や幹細胞を使用するため、副作用が少なく安全性が高いとされています。ただし、長期的な効果についてはさらなる研究が必要です。
※DRT法(経皮的椎間板再生療法)とPRP療法(多血小板血漿療法)は患者さんご本人の血液成分を注入する点で類似する治療法ですが、以下の点で異なります。
・DRT法は、PRPに加えて生物学的製剤を使用し、椎間板の修復や再生を促進する。
・PRP療法はPRPのみを使用し、主に組織修復や痛みの軽減に焦点を当てています。
対象部位
・DRT法は主に椎間板内の損傷や変性に適用されます。
・PRP療法は椎間板外の組織や炎症部位にも適用可能です。

ディスクシール治療(Discseel® Procedure)


椎間板の損傷を修復し、腰痛や坐骨神経痛を改善することを目的とした治療法。
フィブリノーゲンとトロンビンという生体由来の成分を損傷した椎間板に注入し繊維輪破損部分の修復を期待する治療法。椎間板内は血管に乏しいため効果が現れるまでには3~12か月程度と修復には時間を要します。 副作用としては、治療後に一時的な症状悪化や筋肉痛が稀に発生することがあります。

腰部脊柱管狭窄症の治療法

腰部脊柱管狭窄症は、加齢などによって背骨の神経の通り道(脊柱管)が狭くなり、神経が圧迫されて足のしびれや痛みが出る疾患で、特に歩行中に悪化し、前かがみになると楽になることが多いとされます。以下にその低侵襲な治療法について説明します。


全身麻酔で行う手術。脊髄を囲む椎体骨の後方成分を切除/切削したり、一度取り外した椎弓を加工して脊柱管を広げて還納し神経への圧を減らす方法。椎間板ヘルニア特有の手術方法ではなく脊柱管狭窄症など椎間板ヘルニア以外の病態が脊髄を圧迫する際に神経の障害を予防したり改善させたりするために行います。椎体骨の変形などがあっても治療が可能。

全身麻酔で行う手術でこれも椎間板ヘルニアに特異的な治療方法ではありません。 すべり症、変形性脊椎症など脊椎に不安定さが増して神経への影響が生じた場合に骨を削ったり、ずれた骨を固定することによって椎体そのものの安定度を増し症状を改善させることを目的とした手術法です。頸椎では前方侵入でヘルニアや骨の変形を取り除く場合この方法がとられます。固定には自家骨や人工の医療用金属が使用されます。

PEL(経皮的脊柱管狭窄症内視鏡下手術)


PEL(経皮的脊柱管狭窄症内視鏡下手術)は、腰部脊柱管狭窄症に対する低侵襲な治療法の一つです。 小さく皮膚切開し、内視鏡と専用の器具を用いて靭帯や骨の肥厚部分を切除、神経の圧迫を取り除き脊柱管を広げる手術方法。特に靭帯の肥厚による狭窄に適している反面、骨の変形が原因の場合には適応されないことがあります。

フローレンス法/Qフローレンス法


腰の棘突起間を小切開し、X線透視下に専用の器具でスペーサーを挿入。スペーサーの羽根を広げて固定することで、狭くなった脊柱管を拡げ、神経の圧迫の軽減を期待する方法。骨や靭帯を削らないため身体への負担が少なく多くは日帰り可能です。高齢者にも適応可能であることが多く、必要に応じてスペーサーの除去も可能です。 ただし、狭窄の原因によっては効果が限定的な場合もあり、日本ではまだ導入実績が少ない手術法です。

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医療保健施設では受けることができない多くの治療法が世の中には存在し、患者さんの感想だけから判断すると一定の効果が得られているような印象はあります。具体的にはマッサージ、整体、整骨院、鍼灸、カイロプラクティック、AKA、●●法、■■流などその名があまり通っていないものまで含めればかなりの数が存在すると予想されます。
それぞれの治療原理や原則について十分な知識が無い我々がそのそれぞれについて言及するのは避けますが、実際に治療を受けてこられた方の情報などから考えるに、こうした治療で根本的な改善を望むのは難しいのではないかというのが現在の印象です。その多くは痛みなどによる周辺組織の緊張を取るような手法がとられているようです。 いずれの治療も良い結果、悪い結果どちらの報告もあり客観性や科学性に欠けます。したがって彼らの伝統的な手法がどの程度医学的根拠を持っているのかについては正確に判断しかねます。これは、実施施設からの情報の発信が比較的主観的な感想に寄っていることも原因の一つになっています。
保存的治療と手術治療との距離が遠い椎間板ヘルニアにとってこうした治療はある意味必要なのかもしれませんが、お互いの発展のためにも双方向性の情報交換が必須だと思われます。 したがって、よく「…という治療はどうですか?」と尋ねられますが、我々が判断するに十分な情報が無く答えに窮するというのが本当のところです。 こうした治療を受ける際にはやはりご自身で判断して頂くほかないかもしれません。