下肢静脈瘤の再発

再発原因

下肢静脈瘤は、根治的治療がしっかりと施されれば再発の危険性は非常に低いのですが、残念ながらある程度の割合で再発することがあります。原因は、以下のように複数あります。

残存分枝血管

下肢静脈瘤の治療で行われる「高位結紮(けっさつ)術」において、手術後に患部である分枝静脈が一部残存してしまい(残存分枝血管)、のちにその部分が再発という形で下肢静脈瘤を発症してしまう場合があります。これは血管内焼灼術で完治できる典型的な症状です。

新たな静脈瘤

私たちの足には、複数の伏在静脈やその分枝静脈があるため、下肢静脈瘤を治療した患部とは別の個所に、新たな下肢静脈瘤が発症してしまう可能性は、決して低くはありません。不全穿通枝という筋膜を貫いて深部静脈から表在静脈に逆流をきたす血管が発生することもあります。しかし、一般的には延々と新たな静脈瘤が発生し続けるわけではありません。再発直後に硬化療法などの適切な治療を受けていれば早期にコントロールできる場合が多いと言えます。

手術刺激による血管新生

下肢静脈瘤を発症した太い静脈に対しておこなったストリッピング手術などの刺激により、手術した部位の周囲に新たに細い静脈ができる場合があります。これは手術後の血管新生と言いますが、レーザーなどの血管内治療は外科的操作(周囲の組織の剥離や切除)を行わないので起こりません。

元来、下肢静脈瘤に対する根治的治療として揺るぎのなかったストリッピング手術に対して血管内治療の優れている部分が示唆され、血管内治療が普及するうえで非常に注目されました。血管新生による再発例は複雑な形態であることが多いため、治療しづらい場合があります。

不適切、不十分な治療

下肢静脈瘤の治療をおこなった時に、十分に患部を治療しきれなかった、または患部ではない別の血管を除去してしまったなど、不適切・不十分な治療がおこなわれてしまった場合、再発による弊害にとどまらず、治療前より症状が悪化してしまうケースもあります。

参照元

監修医師

 監修医師  北青山D.CLINIC院長 
阿保 義久 (あぼ よしひさ)
経歴
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