再生医療(幹細胞治療)|関節症・脊椎疾患等の痛みやしびれに対する再生医療【北青山D.CLINIC】
関節症・脊椎疾患などによる痛みやしびれに対する再生医療
慢性的な痛みやしびれに対し、ご自身の脂肪から培養した幹細胞を投与します。脳神経外科専門医がCアーム透視下で患部へ投与する選択肢もあります。
北青山D.CLINICでは、慢性的な痛みやしびれに対し、患者さんご自身の脂肪組織から採取した間葉系幹細胞を培養・増殖させ体内に投与する「自家脂肪由来間葉系幹細胞(MSC)治療」(以下、幹細胞治療)を提供しています。炎症の調整と組織の修復を通じて、症状の緩和を目指す治療です。
このページで分かること
- 対象となる病態と、幹細胞治療で何を目指すのか
- Cアーム透視下での投与と、PRP療法との違い
- 現時点で分かっていること・分かっていないこと(研究の到達点)
- 治療の流れ・費用・リスク
1.痛みやしびれが長く続く方への選択肢

痛みやしびれが3か月以上続く状態は、炎症、神経の障害、組織の変性などが複雑に関わっており、鎮痛薬や理学療法だけでは緩和が難しいことがあります。幹細胞治療は、こうした病態に対して、炎症の調整と組織の修復という側面からアプローチする治療です。
ただし、効果と安全性が確立した治療ではありません。病態や重症度、投与部位・投与方法によって期待できる範囲は異なり、効果には個人差があります。
2.対象となる主な病態/治療の考え方
対象となる主な病態
- 膝・股関節・肘・肩などの関節痛
- 椎間板症、脊柱管狭窄症、変形性脊椎症などの脊椎由来の痛み
- 帯状疱疹後神経痛
- 線維筋痛症
- 外傷後の慢性疼痛 など
当院の幹細胞治療は自分自身の細胞を用いるため、一般に免疫学的な不適合が起こりにくいと考えられています。また、以下のような作用により「原因となる組織の修復」や「炎症の抑制」を目指す治療です。
- 幹細胞が放出する成長因子・細胞外小胞等の働きにより、慢性的な炎症を調整し、組織修復を促す
- 幹細胞が障害部位の回復に関与する細胞へ分化し、損傷組織の修復に寄与する可能性がある
運動療法や鍼灸で改善が見られないケース、椎間板変性や椎間板ヘルニア、脊柱管狭窄症による慢性腰痛、神経根症状※を伴う方、椎間板ヘルニアレーザー治療(PLDD)などの手術適応にならない方などにおいても、症状・所見に応じて治療選択肢として検討いただけます。
※ 神経根症状:脊椎から分岐する神経根が圧迫や刺激を受け、腰・臀部・太もも・ふくらはぎ・足、首・肩・腕・手などに痛みやしびれ、筋力低下が生じる症状。
3.幹細胞治療とPRP療法の違い
PRP療法は、患者さん自身の血液から血小板を濃縮して注射することで、血小板由来の成長因子が自然治癒力を高め、組織修復や痛みの軽減を促す再生医療の一つです。細胞培養が不要なため、比較的短期間で実施できる特徴があります。
一方、幹細胞治療は、成長因子等の分泌に加え、幹細胞そのものが組織修復に関与する可能性がある点で、治療の狙いが異なります。いずれの治療も適応・期待できる効果・限界は病態や個人差により異なるため、医師による評価が必要です。
| 幹細胞治療 | PRP療法 | |
|---|---|---|
| 主な利点 |
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| 注意点 |
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どちらが優れているというものではなく、目的や病態によって適した方法が異なります。当院ではPRP療法は行っておらず、自家脂肪由来間葉系幹細胞治療を提供しています。
4.脳神経外科専門医によるCアームを使用した投与

脊髄神経疾患に長年携わってきた脳神経外科専門医 泉雅文医師が担当します。点滴や局所注射での投与に加え、椎間板ヘルニアレーザー治療(PLDD)の手技・知見を活かし、医療用Cアーム(透視装置)を用いて、X線透視下で患部の位置を確認しながら投与を行います。
※ Cアームを用いた投与では、X線透視による被曝があります。また、穿刺に伴う疼痛・出血が生じることがあります。
5.脂肪由来の間葉系幹細胞(MSC)の特徴
身体の中には組織の修復に関与するさまざまな幹細胞が存在しており、中でも骨髄や脂肪の中に含まれる間葉系幹細胞は再生医療の素材として注目されています。特に脂肪由来の間葉系幹細胞は骨髄由来のものに比べ、以下の特徴が示されています。
| 低侵襲 | 幹細胞を抽出できる脂肪組織は、骨髄に比較して採取の侵襲が小さいとされる |
|---|---|
| 分化能 | 脂肪・骨・軟骨への分化能に加え、筋分化能も示される報告がある |
| 増殖能 | 増殖能が比較的高い、老化の影響や骨分化能低下が少ない可能性が示されている |
この脂肪由来間葉系幹細胞を少量の脂肪から分離し、培養・増殖したものを、体内(患部)に注射や点滴等で送達する治療法を、脂肪由来間葉系幹細胞治療(幹細胞移植)と呼びます。慢性疼痛に対する治療選択肢としても研究・臨床応用が進んでいます。
6.想定される作用機序
幹細胞治療は、慢性的な痛みやしびれに対して、炎症の調整、免疫バランスの調整、組織修復の促進など多面的な作用が報告されています。ただし、病態や重症度、投与部位・投与方法などにより期待できる効果は異なります。
| 炎症を抑える | TGF-β、IL-1βなどの炎症性サイトカインを調節し、抗炎症性サイトカインであるIL-10の分泌に関与する |
|---|---|
| 損傷した組織の修復 | 血管新生、神経系の調整などを介して、疼痛受容の過敏化を調整する可能性がある |
| 椎間板弾力性の修復 | 髄核・軟骨細胞への分化などを介して、椎間板のクッション性改善に寄与する可能性が示されている |
※ これらは研究において示唆されている機序であり、当院の治療効果を示すものではありません。疾患領域ごとの機序の整理は治療の妥当性と作用機序をご覧ください。
7.間葉系幹細胞治療の課題と限界
慢性疼痛に対する自家脂肪由来間葉系幹細胞(MSC)治療は研究が進んでいる一方で、大規模臨床試験が十分でない領域もあり、効果の個人差や投与法による違いなど、依然として慎重な検討が必要とされています。本章では、現時点での知見と課題を理解いただくため、関連する論文・試験情報を整理します。
脊椎・脊髄疾患に関連する報告
1)ディスコジェニック腰痛(椎間板変性)― 第I相試験
AD-MSC+ヒアルロン酸担体を用いた第I相試験(12か月追跡)において、安全性・忍容性が確認されるとともに、疼痛および機能スコアの改善が報告されています。
Stem Cell Res Ther. 2017. doi:10.1186/s13287-017-0710-3
1)ディスコジェニック腰痛 ― 系統的レビュー
椎間板変性に対するMSC治療の系統的レビューでは、疼痛・機能改善の可能性が示される一方、研究間の異質性や症例選択の重要性が指摘されています。
MSCの主要メカニズムと慢性痛に関する知見
- 抗炎症・免疫調整作用:炎症性サイトカインの調整に関与することが報告されています(PMID: 29654266)。
- 神経炎症の調整:MSC由来の細胞外小胞等が炎症経路に関与する可能性が示されています。
- 疼痛伝達の調整:疼痛関連因子の発現を調整する可能性を示す報告があります。
- 組織修復:成長因子等を介した修復過程への関与が示されています。
現時点で言えること
頸椎疾患や肩の慢性痛など、部位や病態によっては高品質な臨床エビデンスが限定的である場合があります。上記の研究は他施設の報告を含み、当院の治療効果を示すものではありません。実際の治療適応や期待できる範囲については、医師による評価のもとで判断することが必要です。
8.治療適応
下肢(腰・臀部・太もも・ふくらはぎ・足)や上肢(首・肩・腕・手)に慢性的な痛みやしびれなどの症状がある方、椎間板変性や椎間板ヘルニア、脊柱管狭窄症による慢性疼痛、神経根症状を有する方、保存療法やPLDDなどの手術適応にならない方などが、状態により検討対象となります。カウンセリングおよび検査所見を踏まえ、治療の適否をご案内します。
| 疾患名 | 痛みの原因(例) | 想定される作用(例) |
|---|---|---|
| 変形性膝関節症 | 軟骨の摩耗 | 炎症調整、組織修復への関与 |
| 股関節症 | 骨・軟骨の変形 | 炎症調整、周辺組織の修復への関与 |
| 肩関節症・腱板損傷 | 関節炎・筋腱損傷 | 組織修復への関与、痛みの軽減が期待される |
| 脊椎疾患(狭窄症、椎間板変性など) | 神経圧迫、炎症 | 神経周囲の炎症調整、痛み関連因子の調整が期待される |
| 帯状疱疹後神経痛 | 神経の損傷 | 炎症調整、神経修復過程への関与が期待される |
| 線維筋痛症 | 中枢性疼痛 | 炎症性サイトカインの調整、疼痛閾値への影響が示される報告がある |
※ 表に示したのは研究で想定されている作用であり、治療効果を保証するものではありません。上記に該当する場合でも、診察の結果、治療をお勧めしないことがあります。
9.治療の流れ・費用・リスク
脂肪由来間葉系幹細胞による治療は、以下のステップで実施します。
- カウンセリング問診・診察・必要に応じて画像検査等を行い、総合的に治療方針を検討します。
- 脂肪採取腹部などから、3〜5mm程度の切開で少量の脂肪を採取します(局所麻酔・外来)。
- 分離・培養採取した組織から細胞を分離し、院内の細胞培養加工施設(CPC)で増殖培養します。継代3〜5回以内・培養3〜4週間以内を基準としています。
- 投与培養した細胞を、点滴・局所注射等により投与します。必要に応じてCアーム透視下で投与位置を確認します。
- 経過観察症状や所見に応じて経過を確認します(効果の現れ方には個人差があります)。
治療費用
自家血清培養法:165万円(税込)/無血清培養法:220万円(税込)(脂肪採取+細胞培養+投与)
- 再生医療は保険適用外のため、自費診療となります。
- 費用は治療内容(培養法・投与方法・投与回数等)により異なります。
- 投与経路の変更や併用による追加費用はありません。
治療のリスク
- 採血時:穿刺部疼痛、皮下出血、神経障害
- 脂肪採取時:疼痛、感染、皮下出血、硬結、色素沈着
- 培養時:培養遅延、汚染
- 投与時:注射部痛、灼熱感、発熱、悪心、呼吸症状(血栓塞栓症)
- 関節内・局所投与後:一時的に疼痛が増強する場合がある
- Cアーム誘導下投与:X線透視による被曝、穿刺に伴う疼痛・出血
- 治療後:症状回復遅延、治療効果不足
10.実際の症例
症例は準備でき次第、順次掲載します。効果には個人差があり、同じ結果が得られることを示すものではありません。
- 【再生医療】症例(5)40代男性 慢性疼痛(右下肢痛と右下腿〜足部麻痺) 点滴と経動脈カテーテル投与を組み合わせた治療例です。
- 【再生医療】症例(2)70代女性 慢性疼痛(両膝関節痛) 点滴と局所注射(関節内投与)を組み合わせた治療例です。
- 【再生医療】症例(準備中)50代男性 慢性疼痛(腰痛・就眠困難)
11.出典
- Kumar H, et al. Safety and tolerability of intradiscal implantation of combined autologous adipose-derived mesenchymal stem cells and hyaluronic acid in patients with chronic discogenic low back pain. Stem Cell Res Ther. 2017;8(1):262. doi:10.1186/s13287-017-0710-3
- 椎間板変性に対する間葉系幹細胞治療の系統的レビュー PMC8966879
- 腰部脊柱管狭窄症に対する細胞治療の検討 PMID: 36731929
- 椎間関節への間葉系幹細胞投与に関する臨床試験 ClinicalTrials.gov NCT06001853
- 間葉系幹細胞の抗炎症・免疫調整作用に関する報告 PMID: 29654266
- Stem-cell therapy and platelet-rich plasma in regenerative medicines: A review on pros and cons of the technologies. PMC6306612
- Stem cells and platelet-rich plasma for knee osteoarthritis: usage by board-certified surgeons. Bone & Joint
- Abo Y. Real-world safety profile of repeated outpatient autologous adipose-derived mesenchymal stromal cell therapy. Stem Cell Res Ther. 2026(採択・早期公開版). doi:10.1186/s13287-026-05213-z