適応疾患と治療詳細

幹細胞の治療効果と適応疾患

間葉系幹細胞には、パラクライン効果と呼ばれる細胞の分泌物が直接拡散などにより近隣の細胞に作用する性質があり、免疫系の制御、血管新生、抗炎症作用、抗酸化作用、抗アポトーシス作用、組織修復作用など様々な再生修復作用が期待されます。また、幹細胞は障害部位や病巣を探し当てて自発的にその部位に集積するホーミングとよばれる能力も持っています。そのため、以下の治療効果が期待されます。脂肪幹細胞による治療は、従来の治療法と併用することができます。
費用:165万円~(税込)※海外在住の外国籍の方の治療費用は異なります。当局にご確認ください。

適応疾患


1. 加齢に伴う身体的生理的機能低下
2. スポーツ外傷等による運動器障害
3. 動脈硬化症(心筋梗塞、脳卒中)
4. 慢性疼痛
5. 認知機能障害
6. 神経変性疾患
7. 慢性肺疾患
8. 心不全
9. 慢性腎臓病
10. 肝硬変、肝線維症などの肝機能障害
11. 炎症性腸疾患 
12. 動脈瘤
13.
糖尿病
14.
不妊症
15.
脱毛症

加齢による身体的生理的機能低下

加齢による老化は様々な身体生理機能低下を引き起こし、老化が主因となる疾患は数多く存在します。心臓や脳などの主要臓器の機能に関わる血管病、骨・筋肉・関節などの劣化が原因となるロコモティブシンドローム・サルコペニア・フレイル、光老化が主因となる皮膚・皮下組織の劣化、ひいては悪性新生物(癌)の発生など、言うまでもなく老化は心身の恒常性(ホメオスタシス)の破綻による生命機能全般の悪化を引き起こすのです。また、老化による機能低下や障害は複数の領域が同時に進行することがしばしばであるのに対して、日進月歩に進化する医療技術の極端な専門化は局所的な治療に偏りがちなことから、老化に対する俯瞰的かつ十分な医療の提供が不足がちであるという指摘もあります。万人が避けることの出来ない老化に伴う様々な機能低下を改善する治療は、高齢化社会である日本の喫緊の課題である健康寿命の伸長を実現するものとして強く期待されます。

治療の対象となるのは下記の疾患/病態にお悩みの方々です。


・加齢による身体的生理的機能低下の状態にあり、その改善や増悪予防を希望される方。具体的には以下の病態や症候のある方。

  • ・加齢に伴う老化が原因となる身体生理機能の低下及び障害
  • ・脳卒中、心血管障害などの動脈硬化を背景にした疾患群
  • ・活性酸素、フリーラジカルに対する抵抗力の低下
  • ・活性酸素、フリーラジカルによる酸化障害の増加
  • ・皮膚の光老化
  • ・骨量低下
  • ・筋肉量ないしは筋力の低下(サルコペニア)
  • ・虚弱(フレイル)

スポーツ・加齢による運動器障害

運動器は、身体活動を担う筋・骨格・神経系の総称であり、筋肉、腱、靭帯、骨、関節、神経(運動・感覚)、脈管系などの身体運動に関わるいろいろな組織・器官によって構成されます。それらの組織や器官が機能的に連合することによりヒトは生物としての生命活動を営むことが可能となります。社会の高齢化や多様化により、運動器の障害の発生は増加傾向にありますが、これにより、ロコモーティブシンドローム、サルコペニア、フレイルなど生活機能及び生活の質(QOL:Quality of Life)の著しい低下が惹起されることが問題視されています。現に、我が国の国民がもっとも多く抱えている身体的愁訴は運動器の障害や機能不全に由来しており、それにより要介護人口の増加、ひいては活動性低下に惹起される認知症の増加が見込まれることから、運動器障害への対策は社会的意義も極めて大きいと言えます。

治療の対象となるのは下記の疾患/病態にお悩みの方々です。


・過度の外力負荷が短期間で発生するスポーツ外傷及び交通事故や相応の外力負荷が慢性的に持続する加齢により発生した軟骨・靭帯・筋肉などの運動器の障害を有し、既存の治療(保存治療、手術的治療)で改善しない、もしくは十分な回復が見込めない方。障害部位として、具体的には、以下の軟骨・靭帯・腱・神経・筋肉など運動器を構成する主要組織及び器官。

  • ・肘、膝、肩、足、手、指、股関節の周囲の損傷
  • ・脊髄損傷
  • ・筋損傷
  • ・靭帯損傷
  • ・軟骨損傷
  • ・腱損傷
  • ・骨折後後遺症

・下記のいずれかに該当する方。

  • ・ロコモーティブシンドローム
  • ・サルコペニア
  • ・フレイル

動脈硬化症

 国内の死因別死亡率の年次推移を見ると、悪性新生物(がん)が最も多いですが、動脈硬化症を背景にした心臓血管疾患と脳血管疾患を合わせると悪性新生物とほぼ同等になります。
 動脈硬化症は、高血圧や糖尿病などにより動脈の内側の膜(内膜)にある内皮細胞に傷がつくことが発症契機になります。内皮細胞に傷がつくと、血液中の酸化した悪玉コレステロール(LDLコレステロール)が内膜に入り込み、酸化を受けて酸化LDLコレステロールに変化します。それを処理するために白血球の一種である単球も内膜へと入り込み、マクロファージに変わります。マクロファージは酸化LDLコレステロールを取り込んで、やがて死んでいきます。この結果、内膜に、LDLコレステロールに含まれていた脂肪分が、お粥のような柔らかい沈着物となってたまっていき、内膜はどんどん厚くなります。このようにしてできた血管のコブをプラーク(粥腫)と言い、プラークができた状態を粥状(アテローム)動脈硬化と言います。プラークができると、血流が悪くなり、血管が少し収縮しただけで血流がとだえて、その血管により酸素や栄養が送られている心臓や脳に症状が起こります。また、炎症などがきっかけでプラークが破れると、そこに血のかたまり(血栓)ができて血流が完全に途絶え、心筋梗塞や脳梗塞が起こります。
 このように動脈硬化症が原因となる心筋梗塞や脳卒中が、がんと最も異なる点は突然死を来し得ることです。がんの中でも急激に進行するケースもありますが、突然命を落とすという事態はまず発生しません。一方、心筋梗塞や脳卒中は、つい先ほどまでいつもと変わりなく日常生活をしていた方が突然発症して急死すると言うことが度々見受けられます。また、急死と言う最悪の事態は免れても、発症してから治療まである一定の時間(3-6時間)を越してしまうと
①重症化が余儀なくされて生活の質を著しく下げるような大きな後遺症が残る
②結局は命を落とす
など取り返しのつかないことになることが多く、極めて厄介な疾患群です。このような危機的な状況にならないようにするために最も重要なのは、動脈硬化症を進展させないことです。それにより心筋梗塞や脳卒中の発症、再発を防ぐことが可能になります動脈硬化症の進展を抑えて致死的な疾患の発症を予防することが治療の目標になります。

治療の対象となるのは下記の疾患/病態にお悩みの方々です。


・下記選択基準のいずれかを満たし、動脈硬化性病変を有すると判断される方。

  • ・CAVI値(心臓足首血管指数)≧8.0
  • ・ABI値(足関節上腕血圧比)≦0.9
  • ・頸動脈エコー検査で頸動脈(総頚動脈、内頚動脈)にプラーク(IMT≧1.1)を有する

・以下のいずれかに該当する方。

  • ・心筋梗塞、狭心症の既往がある
  • ・冠動脈CT検査で冠動脈壁不整、石灰化、狭窄、閉塞所見を有す
  • ・脳梗塞の既往がある
  • ・頭部MRI、MRA検査で脳梗塞巣が指摘される
  • ・二親等内の血縁者に動脈硬化性疾患を有する方が2名以上いる
  • ・遺伝子検査で動脈硬化の素因が高いと判断された

・以下の疾患をお持ちで、既存治療(保存的治療、手術的治療)だけでは症状の改善が不十分な方。

  • ・脳梗塞
  • ・心筋梗塞
  • ・閉塞性動脈硬化症
  • ・バージャー病

慢性疼痛

 慢性疼痛は国際疼痛学会(IASP)で「治療に要すると期待される時間の枠を超えて持続する痛み、あるいは進行性の非がん性疼痛に基づく痛み」と定義されています。本邦での正確な定義はありませんが、発症からおおむね3か月を超えて症状が持続する病態を一般的に指します。痛みの要因別分類では侵害受容性疼痛、神経障害性疼痛、心理社会的疼痛などがありますが、慢性化すると痛みの要因はどれか一つに起因することは少なく、種々の要因が複雑に絡んだ混合性疼痛になっていることが多いようです。心理社会的要因が強くなればなるほど治療に難渋すると言われています。そして慢性疼痛患者では抑うつ症状がみられることが多く、疼痛が長引くと、心理社会的要因との循環的相互作用により難治化、重症化することがわかっています。
 疼痛の長期化により、仕事や学業への悪影響が見られ、高率で失職や退学、休職や休学、もしくは転職を認めることが報告されています。また、失職などにより社会活動性が低下し、家庭内での存在感の低下や経済的ストレスが自己価値観の低下につながることがあります。健康に関連する生活の質(QOL)が著しく低下することが問題視されています。

治療の対象となるのは下記の疾患/病態にお悩みの方々です。


・体の内側・外側に関わらず、慢性的に以下のような痛みの症状がある方。

  • ・古傷が痛む方
  • ・頭痛や顔面痛がある方
  • ・骨や筋肉が痛む方
  • ・がんの治療中で痛みがある方
  • ・神経障害での痛みがある方。
  • ・内臓や血管が原因の痛みがある方

・X線,CT,MRI,超音波検査などで関節の変形があり、以下の症状がある方。

  • ・関節を使うと痛みが出る
  • ・体を一定時間動かさずに休めていると関節が固くなる
  • ・湿っぽい天気の日に痛みが強くなる
  • ・痛みが持続している、あるいは再発する
  • ・運動中や運動後に関節が痛む
  • ・思いどおりに動かせなくなった
  • ・薬や杖を使用するだけでは痛みを十分に和らげることができない
  • ・痛みのためによく眠れない
  • ・関節の動きが悪くなっている、あるいは曲げられる角度が小さくなったように感じる
  • ・関節が固くなっている、あるいは腫れている
  • ・歩いたり階段を上ったりするのが困難になった
  • ・子に座る、椅子から立つ、浴槽に入る、浴槽から出るなどの動作が困難になった
  • ・朝に関節がこわばり、その内に治まる
  • ・関節がきしむような感じがする
  • ・過去に膝の前十字靱帯に外傷を負ったことがある

・以下の疾患をお持ちで、既存治療(保存的治療、手術的治療)だけでは症状の改善が不十分な方。

  • ・変形性膝関節症
  • ・腰椎症
  • ・頚椎症
  • ・慢性疼痛症

認知機能障害

 認知機能障害は「記憶、遂行、注意、言語、視空間認知などの認知機能領域における障害」であり、認知症とは「認知機能障害が進行し、一旦正常に発達した種々の精神機能が慢性的に減退・消失することで日常生活や社会生活を営めない状態」を言います。認知症の初期段階は軽度認知機能障害と呼ばれ、軽度認知機能障害の状態から徐々に認知症が完成されることがわかっています。認知症は、記憶能力や学習能力が低下し、老人斑や神経原線維変化および広範囲の炎症を認めることが多く、根本的な治療方法が確立されていない難治性疾患の一つです。高齢者人口の急増と共に認知症患者数は増加しており、2020年には325万人に達するとみなされています。
 現在、認知症に対する他の治療法として、ガランタミン、メマンチン、リバスチグミン、メマンチン併用ドネペジルなどを用いた薬物療法が挙げられます。しかしながら、これらの薬物の服用による認知症の進行を抑制する効果は認められているものの、根本的に症状を改善することはできません。臨床的に有効な治療薬としての改善効果は得られていないのが現状です。また、軽度認知機能障害の状態において症状の進行を抑えることができれば、認知症の発症を遅らせるか予防することに繋がると言えます。

治療の対象となるのは下記の疾患/病態にお悩みの方々です。