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新型コロナ感染症/ COVID-19の新たな蔓延を防ぐために その1

‐①実態とインパクト ②対策上の問題点 ⁻

2020.05.26 北青山D.CLINIC 院長 阿保義久



1. 新型コロナ感染症/ COVID-19 を正しく恐れる

日本の緊急事態宣言は昨日5月25日にようやく解除された。ただし、今回のCOVID-19の流行により社会が受けたダメージは甚大だ。第2波に対しては、その犠牲を最小限に抑えるために、より適切な対策を講じることが求められる。
ところで、世界のCOVID-19感染者数は550万人を超え、死者数は35万人に及ぶ。死者数が最も多い米国では10万人近くが命を落としている。英仏も3万人に及ぶ死亡が数えられている。欧米に比べると東アジアの被害は激しくはなく、日本での死亡数は850人前後で、毎年数千人に及ぶインフルエンザの死者数を超過していない。しかし、未知の感染症に対する過度の恐怖や行動制限から受けた社会の傷跡は大きい。欧米と同様のオーバーシュートが今後起きるリスクを懸念する声もなくなってはいない。少なくとも、有効なワクチンが普及しない限り、この新興感染症を制御するのに必要な集団免疫の確立には時間を要するので、新たな感染の波が生じる可能性はある。
そのような中で、社会活動を安心安全に再開、維持していくために、今後、COVID-19制圧に必要かつ適切な方策を皆が共有する必要がある。
この未知のウイルス感染症には当初予想した以上の厄介な側面があった。無症状者が感染源になるため急激に感染拡大する。軽症者でも急変して死に至ることがある。特に欧米では瞬く間に感染拡大し甚大なる犠牲を生んだ。インフルエンザ感染症では経験したことのない厄介な性質をもつ。生還した方でも闘病中には「死を意識した」と語り、著名人の何人もが実際に命を落とした。
一方、過度に恐れる必要がないところも改めて確認された。感染しても殆どは軽症で自然に治る。高齢者や持病のある人は相対的にハイリスクだがこれはインフルエンザ感染症も同じだ。前述のごとく、特に日本は他国に比べると人口当たりの感染者や死者数が桁違いに低い。その理由は不明だが、遺伝的要因、BCG接種に伴う基礎免疫力、生活習慣、医療制度などが候補に挙げられている。世界においては、COVID-19の実態解明に向けて各国の英知が結集して取り組む中、ワクチンや治療薬などの開発が現実のものとなってきた。
人は誰しも未知なるものに対して過度の恐怖を抱きがちだ。今や、COVID-19の姿は捉えられつつあり、その適切な対処法も解き明かされてきた。緊急事態宣言は解除されたが、再び社会活動の停止を来さないよう正しく恐れてその制圧を成し遂げたいものだ。
今回は、前々回、そして前回提示した見解(非常事態宣言後に提示した合理的解決法 問題解決への方策/、超過死亡に関する見解)も参照しつつ、COVID-19の実態や社会へのインパクト及び対策の問題点を確認し、その制圧に必要な施策について考察したい。



2. COVID-19の実態と社会への実質的インパクト

    ① COVID-19の難点
    COVID-19の厄介な性質は以下のようにまとめられる。

  • 無症状者が感染媒体となる
    →潜在的に感染が拡大し罹患人口が急激に増える。 
  • インフルエンザより基本再生産数が大きい 
    →感染力が強く流行しやすい。 
  • 生活環境内でウイルスの生存期間が長い 
    →知らぬ間に感染するリスク大きい。 
  • 突然重症化するリスクがある 
    →軽症者でも症状経過に注意を要する。
  • 低酸素血症を来しやすい 
    →闘病中につらい呼吸苦を来すことがある。
  • 高齢者の重症化率、致死率が大きい 
    →介護・医療施設での水平感染は致命的。


② COVID-19感染のシミュレーションとなったプリンセスダイヤモンド号の経過
 → 乗客乗員3,711名中 感染者712名 死亡13名

罹患率   19.2 % 
無症状率  61.0 %
致死率    1.8 %

人口分布が高齢者寄りで、清潔・不潔エリアのゾーニングが徹底されていない閉鎖空間に2週間以上隔離されたという感染蔓延を来しやすい環境であったことを考慮すると、実社会では罹患率や致死率はもっと低く無症状率は高くなると予想される。



③ 国別死亡数推移
2020年5月11日、毎日新聞の「経済プレミア」にジョンズホプキンス大学の報告に基づいて地域エコノミストの藻谷浩介氏が作成したグラフが掲載された。これは、2020年1月22日から5月4日までのCOVID-19による主要国の累計死亡者数/人口100万人を集計したもので、日本の状況は他国に比べて際立っている。

単位人口当たりの死亡者数が、日本は欧米の主要国に比べて桁違いに少ない。死因の定義にぶれがあることを考慮しても日本は圧倒的に死者数が少ない。



④ 超過死亡
超過死亡は、前回の考察で解説したとおり、新型ウイルスとは直接関連ない死者(新型ウイルス流行に伴う医療崩壊により他の病気の治療を受けられなかった人など)も含まれている。これに注目することで、実際の犠牲者数が評価でき、COVID-19のパンデミック対策としてのロックダウン解除の時期を判断する際にも注視される。以下は、本年1月から4月末までのニューヨークの超過死亡が示された論文情報であり、超過死亡が確認されだした3月下旬からロックダウンが開始されている。

出典:Preliminary Estimate of Excess Mortality During the COVID-19 Outbreak - New York City, March 11-May 2, 2020. New York City Department of Health and Mental Hygiene (DOHMH) COVID-19 Response Team. MMWR Morb Mortal Wkly Rep. 2020 May 15;69(19):603-605.

この超過死亡は、COVID-19の社会への健康被害を網羅的に評価する指標として国際的に注目されている指標だ。日本の超過死亡に関する情報集計は時間を要しておりリアルタイムで確認できないが、インフルエンザ及び肺炎死に着目した都市部の超過死亡は比較的早く報告されている。これを見ると、本年2月後半から3月末まで超過死亡が認められるものの4月にかけて速やかに収束しているように見える。国が緊急事態宣言を発したのは4月7日。超過死亡が確認されて間もなくロックダウンしたニューヨークと比較するまでもなく、国策として社会活動の制限をする時期が適していたのかについては疑問が残る。

出典:2019-2020年インフルエンザ・肺炎死亡報告 /東京都 国立感染研究所報告より


<東京の超過死亡は回避できなかったのか>

厚労省結核感染課が本年1月末にCOVID-19を指定感染症扱いとしPCR陽性で確定診断されたら法的に強制入院としたこと、かつ時代錯誤のクラスター戦略により濃厚接触者はほぼ強制的にPCR検査を行ったため入院を強要された方が相次いだこと(接触者は高率に陽性となるが無症状もしくは軽症者が半数以上)、の二つの理由で機能病院の病床は軽症のCOVID-19で占拠された。一方、現場ではPCR検査の実施基準が非常に厳しくされたため、病的な患者さんの同定と隔離が遅れ、水平感染による院内感染が多発した。医療インフラが壊されかけたのは、このようなナンセンスな制度設計ミスが原因。感染者が急増したことが直接の原因ではない。

すなわち、上記、東京の約1か月の超過死亡も施策を適切に行えば回避できた可能性がある。COVID-19による人口当たりの感染者数や死亡者数を見る限り、他国に比べてオーバーシュートの気配が全くない日本で医療崩壊が懸念されるのは他国の研究者達からは異様に見えるだろう。実際、医療現場が不必要に疲弊しているのは、当局の初動ミスと、何度もあった制度修正のタイミングでも動かなかったことに起因する。

中国からの情報は100%正しくはないにしても、1月にはヒト-ヒト感染が疑われる新興感染症が武漢で発症したことは確認されており、中国、武漢からの入国者状況を鑑みれば、年末年始あたりに日本国内に同ウイルスが相応に入り込み同時期に既に市中感染が発生していたと考えるのが合理的。この2月、ダイヤモンドプリンセスの検疫から始まって、国内に相当に拡大している感染に目をむけず、クラスター戦略と銘打った封じ込め策を決め込んだ専門家会議の方針は全く理解できないものだった。



3. 今回のCOVID-19対策の問題点

新興感染症のCOVID-19に対して最初から完璧な対策を講じるのは容易ではない。しかし、当局が合理性に欠く頓珍漢な戦略に固執したことにより終始迷走し続けた感は否めない。

1) 当局が初動施策を誤る

2009年の新型インフルエンザ対策において、厚労省は赤痢やコレラなどの古典的感染症を対象に確立した検疫や強制隔離を強行した。この手法は、急激に発症する感染症には有効だが、潜伏期がありその間に周囲に感染を来すインフルエンザには不十分な対策だった。そして、今回、潜伏期間がより長いCOVID-19に対しても当局は前回の轍を踏んだ。2020年1月16日に武漢から帰国した日本在住の中国人を皮切りに、検査対象を帰国した感染者と濃厚接触者に限定したのだ。潜伏期や不顕性感染(無症状)の患者から感染が広まるのを無視したことになる。
さらに、1月末にはCOVID-19をポリオやジフテリアなどと同様の指定感染症に指定した。その結果、感染者はたとえ無症状でも強制入院(14日間)させられることになった。この感染者を強制的に入院する方針が貫かれたため、本来入院管理が不要な軽症感染者により市中の機能病院の病床の多くが占拠されただけでなく、医療スタッフや機器などの医療資源が消耗する事態を招いた。


2) 検査、入退院適応の決定主体も誤る

さらに、COVID-19の確定診断には必須のPCR検査の実施を当局の管理下に置き、医療機関や民間の検査会社に委ねなかったため、その実施は大きく制限された。このPCR検査制限は医療崩壊を防ぐために、確実に症状のある人に検査を施す戦略と言われたが、上述の濃厚接触者の多くは感染陽性であり、かつ殆どは軽症であったことから、結果としては不必要な患者の入院を強制することになり、本末転倒の結果を招く事態となった。さらに、退院の際も、医療現場の判断に委ねるのではなく、PCR検査が続けて2回陰性になることを法的に規定していた。COVID-19は症状が消失して感染力がなくなってもしばらくはPCRが陽性反応を来すことが知られている。そのため、症状が経過して自宅管理として全く問題ない患者も病院に足止めされる結果となり、病床の回転がさらに悪くなった。
たとえ軽症者でも、ウイルスを発する感染源であるため、医療従事者はその管理に細心の注意を払わなければならず、マスク、防護服などの医療資材の不足を来した。
さらに、医療機関が必要と判断した患者さんに任意にPCR検査を行えなかったために、外来受診者などからも水平感染を来し院内感染で死亡した例が目立った。感染症の診断、管理の実際を、当局が一律に縛るのはそもそも無理だ。しかるべき医療行為を医療現場に委ねるべきだった。


3) 感染状態の評価指標が妥当とは言えない

本年3月からはPCR検査数が増えるのに歩調を合わせるように感染者数が増えた。それを基に基本再生産数を算定してもナンセンスだ。そもそも、感染者数はバイアスが多く実態を正確に捉えない。COVID-19の感染状況、社会に対するインパクトをより正しく評価するには、死亡数、特に前述の「超過死亡」を指標とすべきだ。
COVID-19については日々医療情報が刷新された。新興ウイルスであるが故にどのように扱うべきかの指針は常にアップデートされるべきだった。本年3月は医療機関が確かに疲弊していた。それは前述の超過死亡が見られた時期に一致する。専門家会議はその後医療崩壊を防ぐために緊急事態宣言を発することを求めたが、そもそも当初の誤った施策により医療インフラを損ねていたわけで、感染者数が3月後半から急激に増えたわけではない。海外旅行からの帰国者が感染源になったことは否めないが問題の本質はそこではない。


その2 へ続く



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