【『タカラベnews&talk』院長出演内容のポイントオンデマンド配信のご紹介】 

「タカラベnews&talk」番組内容ポイント

2021年1月29日放映の『BS11報道ライブ インサイドOUT 「タカラベnews&talk」』での対談は反響が大きく、多くの患者様から共感を頂いております。番組で紹介できなかった部分も含めてテキストと図でポイントを記載いたします。番組のオンデマンドhttps://vod.bs11.jp/video/insideout-takarabe-news-talk/aSduua/(36分43秒)も公開されていますので、ぜひ動画と共にご覧ください。

①コロナは恐れるべき病気なのか

東大医学部グループとは?

・東大医学部同門の医師達の中で臨床/研究レベル、人間性において信頼できる人たちを主として研究会を立ち上げている。殆どがバスケ部やアメフト部などの運動部所属。

新型コロナウイルスと季節性インフルエンザとの比較は?

・フランスの入院全数のデータベースを用いた比較で、8万人のコロナ患者、4万5千人の季節性インフルエンザ患者を比較した報告で、コロナはインフルエンザより重症化が目立つが、極端な差とは言えない(医療崩壊の部分で改めて説明)。

(図1)Lancet Respir Med. フランスDijon大学病院の後ろ向きコホート研究


1.Lancetフランスの報告「新型コロナvsインフルエンザ」

インフルエンザはコロナ管理の指標となる

新型コロナとインフルエンザは全く違うので、両者を同等に扱うのは不適切、という声が基礎医学者からしばしば聞こえる。コロナは急激に重症化する例も報告されるが、臨床現場での全体像はどうなのか? コロナとインフルエンザの医療インフラに与えるインパクトの差に関する報告は?その問いに、2020年12月17日オンライン版のLancet Respir Medの報告が答えてくれた(図1)。 このフランスのDijon大学病院の後ろ向きコホート研究を読み解くと、概して季節性インフルエンザよりコロナの方が入院後に重症化の転帰をとる傾向があるが(侵襲的人工呼吸器使用率:4.0%vs 9.7 %、ICU在室率:10.8%vs 16.3%、ICU平均在室日数:8日vs 15日)、逆の見方をすると、コロナよりはやや軽症と言えるが季節性のインフルエンザも相応に医療インフラに負担をかけていると言え、医療機関側の負担感という点でざっくりと捉えると、コロナ患者1人の管理はインフルエンザ患者2~3人分の管理に相当する。 そうであれば、例年インフルエンザは12〜2月の寒冷期に集中して国内で約1,000万人医療機関を受診することから、通常の医療環境で300~500万人程度のコロナ発症者を捌けるということにならないだろうか。

主要国死因別死者数は極端に違う

・各国の死因別死者数を比較すると日本で医療崩壊が叫ばれることに違和感。
‐欧米はコロナ死が心筋梗塞などを抜いて1位、日本を始め東アジアは最下位
‐日本のコロナ以外の肺炎による死者数15万人/年に対しコロナは4000人。

(図3)各国人口100万人当たりのCOVID-19死者数

(図4アメリカ、5フランス、6日本、7韓国の各国死因別死者数 におけるCOVID-19の死者数)

なぜ12月から陽性者が増えた?

・札幌医大のゲノムチームの解析では北半球では感染者数、死者数ともに寒冷期に同様に緩やかな増加傾向。2020年3~4月の指数関数的増加傾向はみられない。

(図8感染者数推移)

(図9死亡者数推移)

寒冷期の新型コロナ感染拡大を冷静に評価する

札幌医科大学医学部 附属フロンティア医学研究所 ゲノム医科学部門の解析を見ると、北半球の主要国では、新型コロナ感染者数、死亡者数いずれも、この寒冷期に同様に緩やかに増加傾向を示している。しかし、全世界にコロナ感染が蔓延し出した2020年3~4月のような指数関数的増加傾向は見られない(図8-9)。 ウイルス干渉により今シーズンはSARS-CoV-2がウイルス界における生態学的地位を支配したと説明できる(図10)。その意味でも、通常インフルエンザ感染症が寒冷期に急増する現象と同様の感染拡大がSARS-CoV-2において発生したに過ぎないと判断できる。 SARS-CoV-2の感染経路として、エアロゾル、飛沫、接触の3つが挙げられるが、特に冬季は大気が乾燥していることから水分含有量が少なくなった飛沫核の空気中の滞在時間と拡散範囲が大きくなる。また、寒冷期はヒトの免疫が低下する(体温が低下すると免疫細胞の活性が低下するため)。さらに、寒冷期は、室内の換気がしにくい。 すなわち、上記の複数の要因が相乗的に影響して、寒冷期は気道からヒトに侵入するウイルス感染が拡大する(一般的に例年11月~3月に流行するインフルエンザは1~2月のピーク時には発症数は初発時の5倍程度まで急増する。) 新興ウイルスであるSARS-CoV-2が社会に蔓延した以上、その終息には集団免疫の形成が必要。SARS-CoV-2に対して自然に集団免疫が形成されるのに要する時間は最低でも2年程度とされることから、通年性の感染が今回維持されてこの寒冷期に最も大きい感染の波が生じた。 英国の感染者数/死亡者数の経時的な変化を見ても、昨今、特に懸念されている感染力が増強した突然変異種の影響は限定的と言えよう。

ウイルス干渉

・インフルエンザを始めとした呼吸器、消化管感染症はこの1年激減。新型コロナウイルスが生体学的地位を支配、ウイルス干渉をした。寒冷期の急増は感染病の一般的動向。

(図10 過去5季のインフルエンザ感染者数動向)

② 医療崩壊

医療崩壊は起こり得るのか?

・季節性のインフルエンザも相応に医療インフラに負担をかける。医療機関側の負担感の視点で単純に捉えるとコロナ患者1人の管理はインフルエンザ2‐3人に相当。

(図11)インフルエンザとCOVID-19の比較

つまり・・・?
・例年12‐2月の寒冷期に集中してインフルエンザ患者1千万人を日本では捌く。 同様な対応で300~500万人ほどのコロナ患者に対処できると判断できないか。

重症患者に対する医療現場の対応は?

・新型コロナ感染症は急激に重症化し、人工呼吸器やECMOの管理が必要。 人手を要し入院期間も長い。これら重症患者も80%弱を救命している。

(図12 国内のCOVID-19におけるECMO治療の年齢分布と転帰)

(図13 人工呼吸器治療の年齢分布と転帰)

なぜ医療崩壊が起きた?   →指定感染症の扱いの固持

・指定感染症解除が必要:コロナを甘く見る訳ではない。合理的な医療提供体制の確立。 現状:PCR陽性→保健所管理下、機械的に「入院・ホテル・自宅療養」への仕分け
(1)初期治療の抹殺→不安、重症化の助長
(2)医療判断によるトリアージの抹殺→不適当な判断
(3)対応医療機関の抹殺→指定医療機関でのみ入院管理、重症患者対応
(4)戦力の抹殺→濃厚接触者の隔離義務
→現場の柔軟かつ繊細な医療技術が埋没され、機械的に戦力が奪われる事態を招く。

現状は2類(1類相当)ゆえに、医療管理体制が不必要に厳格化されている?

・致死率が高いエボラ、ペストなどと同様の消毒・清掃管理が必要か? 重症患者が殺到する救急現場で迅速な救命治療が施せない。 非合理な医療環境の束縛を解除して、 疾患の病原性に応じた適切かつ弾力的な臨床行為を現場が行える環境の提供を!

3.医療資源と臨床力に問題がないはずの日本の医療界からなぜ崩壊が叫ばれるのか?

死因別死者数、人口当たり死者数、超過死亡の視点 →指定感染症扱いが解除されないことが元凶

主要国の死因別死者数、人口当たりの死者数を見ると(図3-7)、日本が新型コロナの流行により医療崩壊が叫ばれることに大きな違和感を覚える。欧米主要国ではコロナ死は心筋梗塞など主要死因を抜いて首位をも占める極めて深刻な状況だが、日本は真逆。コロナは死因別死者数の中で最下位(他の東アジア諸国も同様)。コロナ以外の肺炎による死者数も年間15万人前後であるのに対してコロナ死は4千人強。人口当たりのコロナ死者数も欧米の数十分の一。超過死亡も過去数年の中で最小(図14)。

(図14  超過死亡 EUROMOMOアルゴリズム、Farringtonアルゴリズム)

なぜコロナで医療崩壊が叫ばれるのか。確かに新型コロナ感染症は急激に重症化することがあり、重症化すると人工呼吸器・ECMO管理など多くの人手を要する管理が必要で、入院期間も長い。然るに、コロナ重症者の回復率を見ると日本現場が最後まで諦めずに治療に取り組む姿が見える(図12-13)。前述のLancetの報告における考察からも、例年1000万人前後のインフルエンザ感染症に対応してきた現状の医療インフラで何ら問題なく捌けるはずでは。

決定的な元凶は指定感染症による2類(1類)扱いの固持と言えないか。それにより、コロナ感染症に対するプライマリケア(初期医療)から入院適応の判断までが、医師ではなく行政に管理される。医療判断に基づけば、必ずしも入院適応ではなく、オンライン医療など医療機関の管理下で在宅管理が可能な人までもガイドラインに従って機械的に入院管理となっている。逆に機械的に自宅隔離とされた人の中には、医療判断があれば入院適応であったり、何らかの治療の継続が必要とされたりすることもあろう。新型コロナの診断が下されたその時点から、患者の管理、入院などの隔離対応まで保健所の管轄となり、医療判断の機会は失われる。さらに、指定感染症であることから自治体が決めた指定医療機関でしか入院対応できないと言う立て付けになっているので受け皿も少ない。そして、濃厚接触者の不要な隔離措置も伴うため、医療機関で院内感染が発生した場合、濃厚接触扱いとなった医療スタッフはたとえPCR陰性でも隔離される。それはただでさえ人手不足に陥りやすい医療現場にとって致命的。 指定感染症であるが故に、現場の柔軟かつ繊細な医療技術がかき消されて、機械的なルールで戦力が奪われる事態を招いている。  また、現状2類(実質的には1類)相当であることから、医療現場の管理体制も不必要な厳格さが求められる。致死率ほぼ100%のエボラやペストと同様の管理がコロナに必要と言えるのか。救急現場では患者が入れ替わる度に時間のかかる消毒清掃が求められることから殺到する救急患者に迅速な対応ができない。それはコロナ以外の重症患者の救命を困難にする。 当局はこの非合理な医療環境の束縛を解除し、疾患の病原性に応じた適切かつ弾力的な臨床行為を現場が実施しやすい状況を早急につくるべきでは。

③ 対策

難敵コロナにどう向かう(無症状者が感染力を持つ、急激な重症化の例がある)

・PCR検査の適切かつ合理的な運用 →免疫が低下している入院患者、介護施設老人を守るためエッセンシャルワーカーには網羅的頻回にPCRを実施。 ・一方、集団全員を対象に盲目的にPCRを実施するのは合理的ではない。 Ct値の設定が過度なことによる過剰診断の問題も生まれる。 ・発病者には早期医療介入(指定感染症解除必須、外来で投薬可能とする)。

集団免疫の確立が必要?

・ワクチン接種の確立も大切だが、治療薬として効果が期待できるアビガンの外来使用を認めるべき。それにより早期治療が実現でき、重症化の患者の減衰が期待できる。

4.無症状感染を来す、重症化し得る難敵コロナへどう対処する。

→PCRの適切な運用、そして何よりも外来でのアビガン使用の許可を!!

新型コロナの最も厄介な性質は、①無症状者が感染力をもつ②まれに急激な重症化を来す、の2点だ。①により時に医療機関でクラスターが発生する。コロナの無症状キャリアが他の疾患の件で医療機関を受診し、免疫が低下している患者に感染させる。医療スタッフを介して間接的に他の患者に感染することもあるだろう。特に 医療機関や介護施設などは感染力のある無症状者と患者や高齢者などの免疫弱者とを接触させないために、PCR検査を来院患者もしくは医療スタッフに網羅的に頻回に実施できることが望ましい。 しかし、もちろん定期的な検査の励行が必要であり、PCR検査の低コスト化と結果が得られるまでの迅速差が求められる。また、コロナ感染を世の中から完全に排除するためには、理論上、全ての人が体温計で熱を測るように自宅で自らPCR検査を実施、その場で結果を得て、必要に応じて即座に隔離処置なり治療に移行できる環境になれば良い。しかし、流石にそれは現時点では不可能。また、日本のPCR検査は特に検出感度が良すぎて、感染力のない人も陽性判定する可能性がある。過剰診断やそれにともなう不要な不安、社会差別を生んでいるという問題もある。視聴率稼ぎに盲進するメディアが検査結果を適切に扱うとも思えない。PCR検査の意義と意味を社会全体がしっかりと理解して適切に運用ができれば無症状感染者の制御の可能性が大きくはなる。

そもそも、これだけ社会全体にコロナウイルスが蔓延している状況では、その終息のために、やはり集団免疫を確立するしかない。人為的に集団免疫の確立を目指すワクチン接種については、安全性の担保が不十分なことから、欧米に比べて感染・死亡リスクが著しく低い日本では接種を強制すべきではない。既に発生から1年以上経過したことを鑑みみると日本では無症状の既感染者(ワクチン接種済とほぼ同義)は相応に存在するのではなかろうか。 むしろ急務なのは外来で抗ウイルス薬のアビガンの投与を早急に可能とすることだ。アビガンは感染初期であれば高い確率でコロナウイルスの消去が可能となる。自宅待機中に重症化して命を落とすリスクも相当減るだろう。懸念される実質的な副作用も高尿酸血症や下痢など重篤でないものに限られる。残念ながら妊婦や妊娠を予定する男女は使用できないが、特に症状を伴うPCR陽性者は早期にアビガンによる治療を実施できるようにすべきだ。過度な抗ウイルス剤の使用は一般的にウイルス耐性を招くことから、その予防的投与は好ましくないとされるが、世界的ウイルスの権威でアビガンの治療効果にも詳しい東京大学医科学研究所の河岡義裕教授によればアビガンは早期に使用するほど治療効果は大きく耐性もないことが特徴とのこと。臨床現場で既に相応の効果が実証されているアビガンの使用許可を出さない厚労省の担当者の神経を疑う。世界的にこの危機的な状況下で、臨床医、患者双方から使用許可が切望される日本発の期待大の治療薬を特例承認もできない理由が全くわからない。 東京オリンピックの開催の声がむなしさを増す中で奇跡を望むのならば、ワクチン接種の確立よりも早急なるアビガンの薬事承認が必要だ。

危惧すべき点:
将来、本物の高病原性感染症が日本に入ってきたら現状の体制では一溜まりもない。
科学的レベルが高く俯瞰的な視点に立てる感染管理チームリーダーが必要。
日本の医療技術を最大限に活用できる情報公開および共有システムの構築を。