患者さん・ご家族の方へ

患者さん・ご家族の方へ

がんの根治を目指す治療として、手術治療の他に放射線治療・高周波治療、重粒子線治療などさまざまな治療法が登場しています。しかし、いずれの治療法も、発生した部位や大きさ、転移や進行の程度などによっては、根治的治療にならない場合があります。 進行がんに対して用いられる化学療法においても新しい治療薬が続々と登場していますが、いまだに「がん治療の切り札」とはなり得ないのが現状です。 実際のところ、根治的ながん治療を希望しているのに「有効な治療法がない」と診断される患者さんも少なくありません。

そのような患者さんやご家族の方々のご希望を受け、本院では2009年から「CDC6 RNAi 治療」の提供を開始しました。

「がん治療」に対する思い

根治性という観点からは、がん組織を数時間で完全に体から除去できる「手術」を超える治療法はありません。しかし、手術には相応の負担を伴います。そして、がんを発見した時には手術で取り切れないほど病巣が進行していることも少なくないのです。

そして、手術以外の方法は、根治は望めず延命を目指すものでしかないのですが、副作用は相応にあって時に逆に健康被害を生むというのが、がん治療の現状です。

末期がんの治療において、多くの場合、医師は「延命」を治療のゴールだと考えます。そして、生存期間を延ばすという目的のもと、生活の質の確保が十分に行われない傾向にあります。治療の副作用による生活の質の著しい低下、長期の入院など、患者さんやご家族に多大な負担を強いることも少なくありません。このような治療は“人の尊厳を失わせるもの”だと考えます。

これに対して「CDC6 RNAi 治療」は、「末期がんの患者さんでも、希望を持てるように」 「肉体的・精神的な負担を強いられることなく、がんを克服できるように」 そんな想いを実現する、生活の質を落とさず“人の尊厳を重んじる”がん治療法だと言うことができます。

これまでのがん治療と「CDC6 RNAi 治療」

手術を補完する治療は「いかにしてがんに打ち克つか」を基本軸に設計されてきました。抗がん剤などの化学療法、放射線療法、そして最近、話題となっているがん免疫療法もその考え方に基づく治療だと言えます。

辛いがん治療を受けることを選択し、頑張ることができるのは、「がんに打ち克つためには相応の副作用という犠牲がやむを得ない」という考えが背景にあります。そもそも医療行為には相応の負担を伴うことが少なくありません。それでも、負担を伴う医療が正当化されるのは、治療を受ける前提として「副作用などの負担を大きく上回る治療成果を得ることができる」という認識が患者さんにあるからです。手術で根治できないレベルのがんに対する治療は、いずれの方法も結果として「根治」という成果が得られないにも関わらず、治療を推敲する際に患者さん自身が被らなければならない負担が過度に大きいと言えるでしょう。

私たちが提供しているがん遺伝子治療「CDC6 RNAi 治療」は、がんに打ち克つのではなく、がんの元凶である悪い性質をなくし「がん細胞を正常化させる」ことを目指したものです。その点で、今までのがんに対するアプローチとは全く異なる視点に立ち、がん発生のメカニズムの根源に基づいた治療法を考えました。

一方で、標準治療である手術、化学療法、放射線治療、免疫療法を否定するものではありません。それらの確立された治療を補完する治療という位置づけです。実際に、標準治療と組み合わせることで、相乗効果が得られ治療成績が大きく改善することをしばしば経験しています。

がん遺伝子治療-その限界と期待

がん遺伝子治療は「奇跡の治療」?

近年、新たながんの治療法として、遺伝子治療への期待が高まっています。しかし、遺伝子治療は決して奇跡の治療ではありません。遺伝子治療をもってしても、進行がんや末期がんを完治させることは、残念ながらまだ容易ではありません。

にもかかわらず、治療効果に過度の期待を抱かせる情報が目につきます。患者さんを惑わせるような情報が流布している現在の状況を、私たちは大変危惧しています。

遺伝子治療は、生命現象の根幹に直接作用する治療です。そのため、安全性や治療効果の点で大変期待される治療法ですが、完全無欠な治療法ではなく、がん治療においては救命を確実に保証するものではありません。また、保険適用ではないため治療費が相応に高額となります。そのような状況で、標準医療を否定したり、過度な期待を抱かせたりする情報があることを憂慮しています。

私たちは、がん遺伝子治療を2009年から提供し続けてきた立場として、がん遺伝子治療に関する正確な情報を提供することや、がんの克服を目指す方々に現時点でベストな医療サービスを提供することが大切だと、ここ最近改めて感じています。

がん遺伝子治療に期待できること

過度な期待を抱かせる情報には注意が必要な一方で、今後、遺伝子治療がこれからのがん治療の中で重要な位置づけとなることは明らかだと考えています。なぜなら、がん遺伝子治療(CDC6 RNAi 療法)は、遺伝子レベルでがん細胞をコントロールするよう設計されているので、治療による体へのダメージが少なく、激しい副作用がほとんどない治療法だからです。

現時点では、手術後の再発予防や、標準治療では治療法がない進行がんなどに対する補完医療として提供しており、一定以上の治療効果が得られています。奇跡の治療とは言えませんが、がんを根本的にコントロールできる可能性が、遺伝子治療にはあります。

実際にがん遺伝子治療が治療効果を認めたものとして、胃がん、スキルス胃がん、大腸がん、肺がん、乳がん、膵臓がん、胆管がん、子宮がん、卵巣がん、前立腺がん、膀胱がん、肺転移、肝転移、転移性脳腫瘍、悪性組織球症、咽頭がん、頭蓋咽頭腫など、多数の悪性疾患が挙げられます。

遺伝子治療に対する当院のスタンス

当院が遺伝子治療に取り組むことになった背景をお話させてください。

そもそも当院では、現在提供しているがん遺伝子治療を手放しで受け入れていたわけではありません。むしろ、大規模な無作為臨床試験が行われていない未認可の治療の導入について、慎重な立場を取っていました。

その当院で2009年に遺伝子治療を導入することになったきっかけは、国外で既にこの遺伝子治療を受けていた複数の患者さんが、日本国内での治療の継続を切望し、懇願してきたことでした。

日本では、標準治療が尽きると、治療を進めるにしても治験(未認可薬の有効性や安全性を確認するための臨床試験)に参加するしか選択肢がなく、それをしなければ治療をせずに緩和ケアに期待することとなります。これはある意味、国民皆保険システムの限界だと言えます(標準治療を提供している日本国内の医療機関では、日本で保険診療として認可されていないものを並行して行うことができないルールがあります。海外では臨床現場で提供されている先端の治療であっても、例外ではありません)。

「遺伝子治療が、標準治療で対応できないレベルの患者さん達を治療できるだけの有効性があるのか」「安全性に問題はないのか」――。最初は慎重な立場を取り、遺伝子治療の提供をすぐには行いませんでした。その後、治療薬の開発者たちと直接、十分な情報交換を行ったところ、患者さんに治療を行うに値すると評価ができたこと、背景となる論文や基礎試験の結果についても治療の安全性と有効性を示すものとして評価し得ると判断し、遺伝子治療の導入を決断しました。

遺伝子治療の導入以来、標準治療では改善できない病状から回復し、その後も健康を維持している方が何人もいらっしゃいます。これらの治療経験から、標準治療では根治が望めない病期のがんに対しても治療を希求する患者さんに応える、これからの医療の一つに「がん遺伝子治療」があると考えています。一方で、末期がんの中でも最終段階に至ってしまった(多臓器不全をきたした)患者さんを回復させることは、残念ながら実現できていません。

いまだ克服できない疾患である「がん」に直面している私達医師の重要な使命の一つは、有効な治療を開拓し続け、患者さんと最後までがんの克服を目指すことだと思います。進行がんの患者さんでも、生活の質を落とさずに、尊厳を保ち続けられる。そのようながん治療を目指し、これからも治療の改良を続けるとともに、正しい情報の普及に努めたいと考えています。

【動画解説】がん遺伝子治療「CDC6 RNAi治療」

がん遺伝子治療「CDC6 RNAi治療」について、当院では現在2000件以上の治療実績があり、進行末期がんの患者さんの著効例もみられます。動画では、日本のがん治療の現状と課題、これから期待されるがん治療にも触れながら、当院の提供している「CDC6 RNAi治療」の仕組み、具体的な症例、治療実績、展望などを、この治療を検討される患者さん、またご家族の方へ向けて、院長が直接お話しています。下記、動画解説ページへのリンクからぜひご覧ください。

  1. 第1話 ①日本のがんの現状
  2. 第2話 ②これからのがん治療 期待と課題
  3. 第3話 ③遺伝子治療とは
  4. 第4話 ④尊厳あるがん治療・CDC6 RNAi 治療
  5. 第5話 ⑤CDC6 RNAi 治療経過
  6. 第6話 ⑥CDC6 RNAi 治療実績・展望