関節症・脊椎関連疾患などによる痛みやしびれに対する再生医療
【自家脂肪由来間葉系幹細胞(MSC)治療】

痛みやしびれが長く続く方に再生医療(幹細胞治療)の選択肢

幅広い病態に対応、痛みの根本にアプローチ

3階Cアーム

北青山D.CLINICでは、以下のような慢性的な痛みに対し、患者さんご自身の脂肪組織から採取した間葉系幹細胞を培養・増殖させ体内に注入する「自家脂肪由来間葉系幹細胞(MSC)治療」(以下、幹細胞治療) を提供しています。
<対象となる主な病態>
◆膝・股関節・肘・肩などの関節痛
◆椎間板症、脊柱管狭窄症、変形性脊椎症などの脊椎由来の痛み
◆帯状疱疹後神経痛
◆線維筋痛症
◆外傷後の慢性疼痛 など

北青山D.CLINICで提供している幹細胞治療は、自分自身の細胞を使うため安全性が高く、
①幹細胞が放出する成長因子・エクソソームの働きで慢性的な炎症を抑制し、損傷した組織の修復を促進
②幹細胞そのものが障害部位の回復や機能正常化に必要な細胞へ分化し、組織を直接修復する
作用があり「原因となる組織の再生」や「炎症の根本的な抑制」を目指す抜本的な治療です。 
運動療法や鍼灸で改善が見られないケース、椎間板変性や椎間板ヘルニア、脊柱管狭窄症による慢性腰痛、神経根症状※を伴う方、椎間板ヘルニアレーザー治療(PLDD)などの手術適応にならない方といった方も、炎症・神経炎症の抑制、痛覚伝達物質の制御、組織修復により、痛みの根本にある炎症や変性へ直接アプローチし、慢性疼痛の改善が期待できます。

※脊椎から分岐する神経根が圧迫や刺激を受け、腰・臀部・太もも・ふくらはぎ・足・首・肩・腕・手などに痛みやしびれ、筋力低下が生じる症状

幹細胞治療とPRP療法の違い


PRP療法は、患者さん自身の血液から血小板を濃縮して注射することで、血小板由来の成長因子が自然治癒力を高め、組織修復や痛みの軽減を促す再生医療の一つです。PRP療法は、細胞を培養する必要がないため比較的迅速に治療が実施できるメリットがありますが、成長因子の供給による間接的な修復促進が中心なので治療効果に限界があります。一方、幹細胞治療は成長因子とともに、幹細胞そのものを体内に戻し、分化能を活かして損傷組織の修復に寄与する点で直接的な再生・修復が期待できるものです。万能とは言えないものの、PRP療法に比べてより高度な再生医療に位置づけられます。
幹細胞治療と
PRP療法の比較
幹細胞治療 PRP療法
メリット ・多くの変性性・炎症性疾患に対し、強力な治療選択肢
・損傷部位で分化して新たな組織を作るだけでなく、周囲組織の修復機能も活性化する
・自家由来細胞を用いるため安全性が高い
・一度採取・分離した幹細胞を適切に保管すれば、将来にわたり治療へ応用できる
・創傷治癒や瘢痕治癒に関与する重要な遺伝子を刺激する作用がある
・精製が比較的容易で、大規模な設備を必要としない
・自家由来PRPを用いるため感染リスクが極めて低い
・筋肉・骨などの損傷治療に応用が期待できる
デメリット ・幹細胞周囲の環境が治療効果に影響するので治療に必要な細胞数の確定が難しい
・幹細胞の質や寿命には個人差がある
・培養条件により細胞の質が変わり得る
・注入部に感染・神経/血管損傷・瘢痕・石灰化などの病的変化が生じる可能性がある
・注入部および周囲の筋肉や骨に痛みを生じることがある
・稀にアレルギー症状が誘発される
・血管内に入ると血栓症のリスクがある
・以下の患者では実施を控えるべき
 (ヘビースモーカー/大量飲酒者/多剤内服者/血行動態不安定/抗凝固療法中/
  血小板異常・血小板減少症/敗血症・慢性感染症/慢性肝機能障害/慢性皮膚病/癌 など)

参考文献:
https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pmc/articles/PMC6306612/
https://online.boneandjoint.org.uk/doi/abs/10.1302/1358-992X.2018.12.049

脳神経外科専門医によるCアームを使用した精密投与

3階Cアーム

脊髄神経疾患に長年携わってきた 脳神経外科専門医 泉雅文医師 が担当します。点滴や局所注射での投与、および、椎間板ヘルニアレーザー治療(PLDD)実績(2008年導入以来、2025年10月時点で1,836件)の手技・知見を活かし、医療用Cアーム(C字型アームにX線投光器と受光器を備えた透視装置)を用い、手術中X線透視下でリアルタイムに患部の位置を確認しながら、透視下での精度を重視した投与を行います。

・泉雅文医師のご紹介
・椎間板ヘルニアについて
・様々な椎間板ヘルニアの治療方法

脂肪由来の間葉系幹細胞の優位点

身体の中には組織の修復効果を持つさまざまな幹細胞が存在しており、中でも骨髄や脂肪の中に潜む間葉系幹細胞は再生医療の素材として高く注目されています。特に脂肪由来の間葉系幹細胞は骨髄由来のものに比べて以下の優位点があることから研究や治療に広く用いられるようになっています。

低侵襲  幹細胞を抽出できる脂肪細胞は、骨髄細胞に比較して容易にかつ低侵襲に採取できる。
優れた分化能    脂肪由来間葉系幹細胞は骨髄由来と同様の脂肪・骨・軟骨への分化能に加えて骨髄由来にはない筋分化能も持つことが示されている。
劣化が少ない    脂肪由来間葉系幹細胞は、細胞形態や分化能は骨髄由来と差異はないが、増殖能が強く、増殖に伴う老化の影響や骨分化能の低下が少ない。

この脂肪由来間葉系幹細胞を体内から取り出した少量の脂肪から分離し、特殊な環境下で大量に培養したものを、体内(患部)に注射や点滴で送達する治療法を、脂肪由来間葉系幹細胞治療もしくは幹細胞移植と呼びます。
脂肪由来間葉系幹細胞治療は、今まで有効な治療法がない様々な疾患に対して外来治療で対応できる点が高く評価されます。慢性疼痛への期待できる治療として国際的に盛んに実施されています。

慢性疼痛に対する薬理効果

幹細胞治療は、腰・臀部・下肢・上肢・頚部などに生じる慢性的な痛みやしびれに対し、多面的な薬理作用を通じて治療効果を示すことが期待されています。本治療では、炎症を抑制する抗炎症作用、痛みの原因物質の産生抑制、軟骨・神経・血管組織の修復促進、さらに免疫バランスの調整といった働きが確認されており、これらが慢性疼痛の改善に寄与すると考えられています。また、手術回避につながる可能性も指摘され、国内外の臨床研究においては、痛みのスコアが大きく低下し、日常生活の質が向上したとの報告が多数みられます。そのため、慢性疼痛に対する治療として国際的にも広く導入が進んでいます。
本治療は日帰りで実施可能な低侵襲治療であり、従来の保存療法で十分な効果が得られなかった方、椎間板ヘルニアに伴う慢性的な腰痛や椎間板変性症状にお困りの方(治療効果に関する報告あり)、神経根症状を有する方(他の保存療法や手術が適さない場合にも対応可能なケースがあります)、さらに椎間板ヘルニアレーザー治療(PLDD)の適応とならない脊柱管狭窄症などにおいても、治療選択肢として検討いただけます。

炎症を抑える TGF-β、IL-1βなどの炎症性サイトカインを調節し、抗炎症性サイトカインであるIL-10を分泌する
損傷した組織の修復 血管新生、シナプス産生、神経膠形成、神経発生などの能力をもっているため、疼痛受容体の修復や調節が可能
椎間板弾力性の修復 髄核・軟骨細胞への分化により椎間板の弾力性・クッション性の改善が期待される

幹細胞治療の課題と限界

慢性疼痛に対する自家脂肪由来間葉系幹細胞(MSC)治療は、近年研究が進んでいる一方で、大規模な臨床試験がまだ十分ではなく、治療効果の個人差や投与法による効果の違いなど、慎重な検討が必要とされます。本ページでは、こうした再生医療の“不確実性”を正しくご理解いただくため、国内外の関連論文を提示し、現時点で分かっている知見と課題を客観的に示しています。透明性のある情報提供により、患者さんが治療を検討する際の判断材料として役立てていただくことを目的としています。

脊髄疾患に対する幹細胞治療の関連論文


幹細胞を用いた再生医療は、脊椎・脊髄疾患に対しても臨床応用が進みつつあり、特に椎間板変性によるディスコジェニック腰痛では有効性と安全性を示す報告が増えています。一方で、脊柱管狭窄症や椎間関節症に対する治療は、いまだ研究段階にあり、標準治療と併行して慎重に検討が行われています。以下に、これまでの主要な臨床研究と報告を示します。
1) ディスコジェニック腰痛(椎間板変性)
•AD-MSC+HA担体(単群・第I相、n=10、12か月追跡)
1椎間板あたり2×10^7 または 4×10^7個を椎間板内注入。治療関連の有害事象/重篤事象なし。VAS/ODI/SF-36の有意改善、MRIで含水率改善例も観察。安全・忍容性良好が結論(韓国)。 BioMed Central
•系統的レビュー/メタ解析(椎間板変性に対するMSC)
椎間板内MSC(細胞種にBM-MSCが多いが総論としてMSC)でVAS/ODI改善、安全性プロファイルは良好と総括。臨床開発は進行中で、早期~中等度変性例での反応が目立つ。 PMC+2OUP Academic+2
•進行中/計画中のAD-MSC RCT
AD-MSC+HAハイドロゲルによる無作為化二重盲検・用量探索第II相プロトコールが公開され、VASを主要評価項目、24か月追跡で安全性と有効性を検証予定。 PubMed+1 実臨床の含意:Pfirrmann III–IV程度の変性、重度狭窄・高度椎間板虚脱・感染・腫瘍等を除外したうえで、画像下で椎間板内に2–4×10^7細胞/ディスク前後を投与し、VAS/ODIを主要エンドポイントに12–24か月フォローする設計が、既報との整合性が高いです。 BioMed Central

2) 腰部脊柱管狭窄症(LSCS)
•MSC+バイオマテリアルを用いたLSCS対象の臨床試験プロトコール(REC+dMD-001)
椎間板欠損部への充填・変性進行抑制を狙う国内発の前向き臨床試験計画。現時点では効果・安全性の確定データは未公表。 PubMed+1
含意:LSCSに対するMSCは探索段階。標準治療(運動療法、薬物、神経根/硬膜外ブロック、減圧術等)をまず優先し、MSCは臨床研究枠での実施が妥当です。 PubMed

3) 椎間関節症(変形性脊椎症の一部)
•椎間関節内MSCの前向き試験(BM-MSCが中心、進行中の二重盲検クロスオーバー第II相)
関節内注射としてのMSC応用は整形領域(膝OA等)ではデータがある一方、脊椎の椎間関節は臨床試験進行中で、有効性確立には至らず。AD-MSCでの安全性/有効性の高品質報告は限定的。 クリニカルトライアルズ+1

MSC治療の主要メカニズムと首肩痛への関連論文・臨床エビデンス


幹細胞を用いた再生医療は、首や肩の慢性痛に対しても新たな治療の可能性が期待されています。幹細胞には、炎症や神経炎症の抑制、痛みの伝達制御、組織修復を促す作用があり、従来のリハビリや鍼灸などで改善しにくい症状にも、根本的な改善をもたらす可能性があります。
ただし、首肩痛を対象とした大規模な臨床試験はまだ行われておらず、膝の変形性関節症や椎間板性腰痛に比べてエビデンスは限定的です。さらに、投与方法(局所注射・静注・椎間板内注入など)についても、慎重な検討が必要です。
(1) 抗炎症・免疫調整作用
•MSCは PGE2, TSG-6, IL-10, IDO などを分泌 → M1マクロファージをM2へ転換、Treg誘導、炎症性サイトカイン(TNF-α, IL-1β, IL-6)抑制【Milone & O’Doherty, Leukemia 2018】【Wang et al., Pain Res Manag 2021】
➡ 頸椎周囲・肩甲帯の慢性炎症を沈静化 → 神経・筋膜の感作を抑える可能性あり

(2) 神経炎症の抑制・中枢感作の緩和
•MSC由来エクソソーム(MSC-Exos)は miR-146a, miR-21 を介して NF-κB/NLRP3炎症経路やミクログリア活性を抑制【Li et al., Front Immunol 2022】
➡ 頸髄・脊髄後角での過剰な痛覚伝達を調整する可能性

(3) 疼痛伝達物質の制御
•MSCは Substance P, CGRP, TRPV1 の発現を低下させる報告あり【Wei et al., Stem Cells Int 2020】
➡ 神経性・筋膜性疼痛の末梢過敏を鎮める効果

(4) 組織修復・抗線維化作用
•MSCは HGF, VEGF, TGF-β調整を介して筋膜・腱・椎間板・関節軟骨の修復を促進【Caplan, J Orthop Res 2017】
➡ 頸椎椎間板変性や肩関節周囲炎に伴う構造的な痛み要因を改善

臨床エビデンス
•膝OAや椎間板性腰痛ではRCT/メタ解析で痛みスコア改善の報告あり【2025 Stem Cell Res Ther; 2024 Ann Rheum Dis】
•頸椎疾患や肩の慢性痛はまだ大規模RCTはなく、主に小規模研究・ケースシリーズ
  例:頸椎椎間板変性に対するMSC椎間板内投与で疼痛(VAS)・機能(NDI)改善の報告あり
  肩関節周囲炎や腱板損傷に対して、関節内MSC投与+理学療法で疼痛改善が報告されている(小規模研究)

治療適応

下肢(腰・臀部・太もも・ふくらはぎ・足)や上肢(首・肩・腕・手)に慢性的な痛みやしびれなどの症状がある方、椎間板変性や椎間板ヘルニア、脊柱管狭窄症による慢性疼痛、神経根症状を持つ方、保存療法や椎間板ヘルニアレーザー治療(PLDD)などの手術適応にならない方などが治療適応として検討可能です。 カウンセリング及び、最新の臨床データに基づく安全で効果的な治療法をご案内します。 痛みやしびれ症状の改善や機能回復を目指す方、身体への負担が少ない革新的な選択肢として幹細胞治療をご検討ください。

疾患名    痛みの原因   幹細胞治療の期待される効果  
変形性膝関節症 軟骨の摩耗 軟骨の保護・再生、炎症抑制
股関節症 骨・軟骨の変形 関節炎・筋腱損傷
肩関節症・腱板損傷 関節炎・筋腱損傷 組織修復、痛みの軽減
脊椎疾患(狭窄症、椎間板変性) 神経圧迫、炎症 神経の保護、痛み物質の低減
帯状疱疹後神経痛 神経の損傷 神経修復、炎症抑制
線維筋痛症 中枢性疼痛 炎症性サイトカインの抑制、疼痛閾値の改善

治療の流れ・費用・リスク

脂肪由来間葉系幹細胞による治療は具体的には以下のステップがあります。

  1. カウンセリング: 泉医師によるカウンセリング、問診・診察・MRI検査等、総合的な見地から治療を提案します。
  2. 脂肪切除: 腹部や膝裏など、3~5㎜程度の切開により米粒大数粒の脂肪を切除(局所麻酔で外来処置)。
  3. 間葉系幹細胞分離培養: 切除した脂肪細胞から間葉系幹細胞を分離し細胞培養加工室で増殖培養(4~8週間)。
  4. 間葉系幹細胞投与: 増殖培養した間葉系幹細胞1億個以上を、症状部位へ直接注射や点滴、またCアームを使用した手技(Cアーム透視下で患部を確認しながら行い、患部の位置を確認しながら、精密に手技を進めます。)により体内へ送達。
  5. 経過観察 :1〜3か月で痛み軽減が始まり、6か月〜1年で最大効果という経過が一般的です。MRI検査などの画像検査で軟骨の厚みや神経周囲の炎症改善が確認できる場合もあり、組織の修復が十分であれば根治も可能ですが病因が背景にある場合は再燃のリスクはあります。
  6. 泉医師によるCアームを使用した施術動画

     

治療費用

再生医療(幹細胞治療)は、健康保険が適用されません。
再生医療の費用についてはこちらをご覧ください。

治療の欠点及びリスク

・自費診療となるため治療費がかかる
・長期的な安全性と効果の研究がまだ進行中である
・採血時:穿刺部疼痛、皮下出血、神経障害
・脂肪採取時:疼痛、感染、皮下出血、硬結、色素沈着
・培養時:培養遅延、汚染
・投与時:注射部痛、灼熱感、発熱、悪心、呼吸症状(血栓症)
・治療後:症状回復遅延、治療効果不足
※一般的には軽微な偶発症は起こり得ますが、重篤な有害事象が生じるリスクは稀です。

治療の実際の症例

【再生医療】症例(5)40代男性 慢性疼痛(右下肢痛と右下腿~足部麻痺)
【再生医療】症例(2)70代女性 慢性疼痛(両膝関節痛)
【再生医療】症例(準備中)50代男性 慢性疼痛(腰痛 就眠困難)

再生医療関連ページ