幹細胞治療の妥当性
間葉系幹細胞(MSC)治療の妥当性
間葉系幹細胞(mesenchymal stem cell: MSC)は、分化能に加え、細胞から放出される因子(サイトカイン等)を介した作用が期待されます。 ここでは、代表的な領域ごとに、一般に示唆されている作用機序の考え方を整理します。
慢性疼痛治療としての妥当性
間葉系幹細胞には、以下のような作用が示唆されています。
- TGF-β、IL-1βなどの炎症性サイトカインを調節し、抗炎症性サイトカインであるIL-10を分泌する能力
- 血管新生、シナプス産生、神経膠形成、神経発生などに関連する働きが示唆され、疼痛受容体の修復や調節に寄与する可能性が考えられます。
動脈硬化治療としての妥当性
間葉系幹細胞の働きとして、以下のような点が示唆されています。
- 間葉系幹細胞が持つ血管新生効果は、in vitroおよびin vivoのみならず臨床研究でも示唆されており、 虚血性心疾患、脳血行障害、末梢循環障害、創傷治癒などへの応用可能性が考えられます。
- 間葉系幹細胞から放出される微細粒子(エクソソーム)に含まれる因子群が、 虚血性病変に対する修復・改善に寄与する可能性が示唆されています。
- 脂肪由来の間葉系幹細胞の投与により、動脈プラーク内や心筋内の炎症制御に関与する可能性が示唆されています。
認知機能障害治療としての妥当性
間葉系幹細胞には、以下のような点が示唆されています。
- 血管新生、シナプス産生、神経膠形成、神経発生などに関連する働きが示唆されるほか、 NGF、BDNF、GDNF、VEGF、HGF、IGF-1、SDF-1、CXCR4等の因子や、シナプス関連タンパクなど、 多様な神経・グリア関連の因子を分泌する可能性が示唆されています。また、分化能を有する点から、神経変性疾患に対して研究が進められています。
- アルツハイマー病の病理学的特徴としてアミロイドβの蓄積が挙げられます。 一方、アミロイドβ分解に関与する酵素の一つとしてネプリライシンが知られており、 間葉系幹細胞にネプリライシン活性に関連する作用が示唆される報告があります。
その他治療の妥当性
間葉系幹細胞に関して、一般に以下のような作用が示唆されています。
- 血管新生、シナプス産生、神経膠形成、神経発生などに関連する働きが示唆されるほか、 NGF、BDNF、GDNF、VEGF、HGF、IGF-1、SDF-1、CXCR4等の因子、シナプス関連タンパクなど 多様な神経・グリア関連因子を分泌する可能性が示唆されています。
- 間葉系幹細胞は、TGF-β、IL-1βなどの炎症性サイトカインの調節や、 IL-10等の抗炎症性サイトカイン分泌など、免疫調節機能が示唆されています。
- これらの作用(いわゆるパラクライン効果等)が、スポーツ・加齢による運動器障害、加齢に伴う身体的・生理的機能低下、 神経変性疾患、慢性肺疾患、心不全、慢性腎臓病、肝硬変・肝線維症など肝機能障害、炎症性腸疾患など、幅広い病態で研究対象となっています。