膵臓がんの一般的検査法に関する解説

膵臓がん/ 難治がんの代表格

膵臓がんは、早期発見が難しい、手術的治療で切除できてもその後再発することが多い、治療の根治度を表す5年生存率が極めて低い等の特徴をもつ、「難治がん」の代表です。5年相対生存率(厚労省統計)では、がん全体では62.1%に対し、膵臓がんは8%弱で全てのがんの中で唯一突出して低くなっています。

膵臓がんを発見するための検査法

一般的に先ず実施する画像検査

① 腹部エコー検査

② 腹部CT検査

③ 腹部MRI/MRCP検査

早期発見や精密な評価を目的に
限られた医療機関で実施する画像検査

EUS(超音波内視鏡)

② ERCP

補助検査としての血液検査

① 腫瘍マーカー検査

② 膵臓関連酵素検査

一般的な検査の流れ

1. 一般的な最初の検査↓
血液検査 膵酵素(アミラーゼ、リパーゼ、エラスターゼ1)腫瘍マーカー(CA19-9、CEA、DUPAN-2、SPan-1など)の数値が上昇していないかを調べます。
腹部エコー検査 腹部に超音波を発信するプローブを当て、返ってくるエコー(反射波)をコンピュータで画像化するものです。
2. 上記1の検査で異常があれば↓
腹部造影CT検査
あるいは
腹部MRI/MRCP検査
CT(コンピュータ断層撮影)検査あるいはMRI(磁気共鳴画像)検査/ MRCP(磁気共鳴胆管膵管撮影)検査で病変の有無や広がりを詳しく調べます。
MRCPはMRI検査において特に膵管、胆管、胆のうのみを描出する特殊技術です。
3. 更に精密に評価するために↓
EUS(超音波内視鏡検査) EUSは、先端にエコー端子がついた内視鏡を胃の中に挿入して体内から膵臓をエコーで描出します。
ERCP(内視鏡的逆行性胆管膵管造影) ERCPは、内視鏡を使って膵管に造影剤を注入しX線撮影で膵管を描出します。
PET(陽電子放射断層撮影)検査等 PET/CT検査では、ブドウ糖を加えた放射線同位元素を注射し、がん細胞の存在と分布を確認するものです。
4. 確定診断
確定診断 確定診断のためには、EUS、ERP(内視鏡的逆行性膵管造影)、腹部超音波検査、CTのいずれかにより、病変の組織(細胞)を採取(生検)して病理検査が必要です。

一般的な検査ではなぜ初めからEUSなどの精密検査を行わないのか?

膵臓がんの一般的な検査法を見ると、確定診断が可能なEUSをなぜ最初に行わないのか疑問に思う方もおられるでしょう。残念ながら多くの医療機関ではEUSの検査を積極的に実施していないのが実情です。その理由として以下の二つが挙げられます。

① 的確なEUS検査を実施できる医師が確保できていない

② EUS機器が高価のため導入に躊躇している



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