再生医療(幹細胞治療)|当院の細胞培養加工施設(CPC)と品質管理体制【北青山D.CLINIC】

院内の細胞培養加工施設(CPC)と品質管理体制

当院は細胞培養加工施設を院内に2施設備えています。採取から培養・投与までを院内で完結させることで、外部搬送による時間のロスと温度変化を避けています。

細胞を用いた再生医療においては、取り扱う細胞の状態や環境管理が重要です。幹細胞の劣化を防ぎ、その機能を発揮させるには、検体の採取から培養・加工までを適切なタイミングと環境で実施することが求められます。

北青山D.CLINICでは、厚生労働省の定める基準に基づく細胞培養加工施設(CPC:Cell Processing Center)を院内に設置し、検体の受け入れから細胞の培養・投与までの一連の工程を一貫して管理しています。これにより、外部委託による時間的なロスや温度変化のリスクを抑え、適切な品質管理のもとで細胞を取り扱うことが可能となっています。

  • 2施設院内の細胞培養加工施設
  • クラス10,000培養室の清浄度
  • 24時間環境データの自動監視
  • 0回外部施設への搬送

このページで分かること

  • 院内に2施設のCPCを備えていることと、その許可の経緯
  • CPC内の設備と、清浄度・温度・気圧をどう管理しているか
  • 脂肪採取から投与までの工程と、治療全体の流れ

1.北青山D.CLINICの細胞培養加工施設(CPC)

CPCをはじめとする衛生管理体制の整った環境で、細胞培養加工士が作業を担当し、安全性と安定性に配慮した体制を整えています。同一クリニック内で一貫して管理することで、患者さん一人ひとりの治療計画に応じた対応が可能です。

当院の細胞培養加工施設
施設 施設番号 概要
第1CPCFC3210045クリニック内6階に設置(2018年開設)
第2CPC
(ARK WISE 細胞培養加工施設)
FA3250001隣接ビルに新設。2025年9月に特定細胞加工物製造の許可を取得

北青山D.CLINICの細胞培養加工施設(CPC)培養室の全景

CPC培養室の全景

2.CPC拡張による受け入れ体制の強化について

当院のMS法人である株式会社アークワイズは、「ARK WISE 細胞培養加工施設(施設番号:FA3250001)」を新設し、2025年9月に厚生労働省関東信越厚生局より特定細胞加工物製造許可を取得いたしました。本施設は、再生医療等の安全性の確保等に関する法律に基づき、独立行政法人医薬品医療機器総合機構(PMDA)の実地調査を経て許可を受けたものです。

当院では、特定認定再生医療等委員会の審議を経たのち、厚生労働省に届出済みの治療計画に基づき、既存CPC(施設番号:FC3210045)と併用し、本施設を診療へ活用しています。この拡張により、次の点が改善されました。

  • 細胞培養作業環境の拡大により、治療待機時間が短縮
  • 全工程を自施設内で完結することで、細胞の鮮度と品質を保持
  • 衛生・管理設備の増強による、安全かつ効率的な治療体制の確立
  • 一方の施設で設備の点検や不具合があった場合にも、もう一方で対応できる(設備の冗長化)

今後も、法令遵守と透明性を徹底し、安全で信頼いただける再生医療の提供に努めてまいります。

第2CPC(ARK WISE 細胞培養加工施設)に設置された安全キャビネット

第2CPCの安全キャビネット

3.CPC施設ギャラリー・設備紹介

当院のCPCは、清浄度クラス10,000、安全キャビネット、CO₂インキュベーター、遠心分離機、位相差顕微鏡、環境モニタリングシステムなどの設備を備えています。

CPCや安全キャビネットの設置によって、空気中の微粒子や菌の混入(コンタミネーション)のリスクを抑えています。また、清浄度・温度・湿度・気圧などの環境データは24時間自動で監視され、異常時には即時にアラーム通知される仕組みです。これらのシステムは、細胞培養中のトラブルを未然に防ぎ、安全な細胞加工環境を維持するために寄与しています。

室内は清潔さと安全性を優先して設計され、スタッフ全員が感染管理のもとで作業を行っています。本章では、CPC内部や設備の写真を通じて、普段ご覧いただくことのない施設の様子や環境をご紹介します。

機器のご紹介

細胞操作時の無菌作業を行う安全キャビネット

細胞操作時の無菌作業を実現する安全キャビネット

細胞培養に用いるCO2インキュベーター

適した環境での細胞培養を実現するCO₂インキュベーター

細胞の状態を観察する位相差顕微鏡とモニター

細胞の状態を詳細に観察できる位相差顕微鏡とモニター

細胞の分離・回収に使用する遠心機

細胞の分離・回収に使用する遠心機

細胞を−196℃で長期保管する液体窒素タンク

細胞を超低温で長期保管可能な液体窒素(−196℃)

細胞を低温で保存する細胞保管用冷凍庫

細胞を低温で安全に保存するための細胞保管用冷凍庫

細胞表面マーカーを解析するフローサイトメーター

細胞の品質や状態を解析するフローサイトメーター

施設のご紹介

作業員出入り口の開閉状況を示す確認ランプ

出入口の状態を一目で確認できる作業員出入り口の開閉状況確認ランプ

室内環境を24時間自動監視する環境モニタリングシステム

清浄度をはじめ、温度・湿度・気圧などの室内環境を24時間自動監視する環境モニタリングシステム

外気の侵入を防ぐ陽圧管理の計器

外気侵入を防ぎ、清浄度を保つ陽圧管理

細胞や物品の受け渡しに用いるパスボックス

細胞や物品の衛生的な受け渡しを行うパスボックス

インターロック付きエアタイトドアを備えた脱衣室・着衣室

気密性・安全性を両立する出入口のインターロック付きエアタイトドア(どちらかが開いていたらもう一方が開かない仕組み)

4.細胞処理・培養および治療の流れ

細胞処理・培養の流れ(CPC内の工程)

北青山D.CLINICでは、細胞の採取・培養・投与までを同一クリニック内で一貫して管理しています。外部搬送による温度変化や時間的ロスを抑え、患者さんご自身の細胞を良好な状態で治療へつなげるためです。各工程は下記の流れで進みます。

  1. 脂肪組織の採取局所麻酔下で、腹部などからごく少量(米粒2個分程度)の脂肪を採取します。
  2. 細胞分離処理(安全キャビネット内)採取した脂肪組織には、幹細胞以外の細胞も含まれます。細胞培養加工士が安全キャビネット内で衛生的に処理を行い、治療に不要な成分を除去したうえで培養を開始します。
  3. 培養開始(目的に応じた培養法の選択)症例や目的に応じて、自家血清培養法または無血清培養法を選択し、幹細胞を増殖させていきます。
  4. 日々のモニタリングと環境管理培養中は、細胞培養加工士が顕微鏡で細胞の状態を確認しながら、環境管理を行います。必要に応じて、培養の妨げとなる細胞や成分を取り除き、細胞が良い状態で増えるよう整えます。
  5. 細胞品質チェック増殖した細胞は、状態・安全性などを多角的に確認し、治療に用いる細胞として妥当かを評価します。
  6. 培養完了・回収継代3〜5回以内・培養3〜4週間以内を基準に培養を行い、基準の範囲で得られた幹細胞を回収します。
  7. 投与または凍結保存回収した幹細胞は、点滴・局所注射・動脈カテーテル・髄腔内投与など、患者さんの状態に合わせた方法で投与します。また、ご希望により凍結保存も可能です。

※ 培養できる細胞数には個人差があります。当院は投与細胞数を保証せず、基準の範囲で得られた数をそのままお伝えしています(なぜ投与する幹細胞の数は人によって違うのか)。

間葉系幹細胞の確認と品質評価について

間葉系幹細胞は、脂肪組織、骨髄、歯髄、臍帯など、さまざまな組織から分離されます。そのため、培養によって得られた細胞が、医学的に間葉系幹細胞として適切な性質を有しているかを確認することは、再生医療において重要な考え方の一つとされています。

国際細胞治療学会(ISCT)では、間葉系幹細胞の同定基準として、特定の陽性マーカー(CD73、CD90、CD105など)が発現していること、ならびに陰性マーカー(CD11b、CD19、CD34、CD45、HLA-DRなど)が発現していないことを確認する指標が示されています。当院では、この指標に基づくフローサイトメーターでの解析を実施し、当院の培養工程によって得られた細胞が指標に符合していることを確認しています。

治療全体の流れ

  1. 初診・カウンセリング治療内容や流れ、リスク・費用などについて医師が説明します。ご納得いただいた場合、同意書をご記入いただきます。
  2. 細胞採取局所麻酔下で脂肪組織を採取します(腹部など)。
  3. 細胞培養CPCにて幹細胞を培養します。初期培養から投与まで、3〜4週間以内を基準に進行します。
  4. 幹細胞の投与状態確認を終えた幹細胞を、点滴・局所注射・動脈カテーテル・髄腔内投与など、適した方法で投与します(所要時間は目安として1〜1.5時間程度)。
  5. 経過観察治療後は、医師の判断により適切なタイミングで経過を確認します。効果や症状を見ながら、必要に応じて追加投与も検討します。

培養法の選択肢について

当院では、治療目的や患者さんのご状態に応じて、培養方法を選択します。無血清培養法には、次のような特性があります。

  • 血清採取の負担が少ない
  • 培養条件が一定で、環境が安定しやすい

一方で、方法によっては自家血清培養法と比べて費用が高くなる場合もあります。どの培養法を用いるかは、医師が治療内容・ご体調・ご希望を踏まえてご案内します。ご不明な点があれば遠慮なくご相談ください。

5.医師・細胞培養加工士の紹介

北青山D.CLINICでは、細胞培養加工士と担当医師が連携し、患者さん一人ひとりの細胞を取り扱っています。CPCの管理責任者と細胞培養加工士が日々の培養と品質管理を担い、院長をはじめとする治療担当医師が、個々の患者さんに合わせた投与計画を立案します。

当院のCPCや再生医療体制について、阿保義久院長による解説動画を公開しています。

CPCの見学について

細菌やウイルスの外部からの侵入を防ぐため、関係者以外の入室はお断りしています。特別な理由で設備の確認が必要な場合は、関係者同伴のうえ、作業管理区域外の廊下からのぞき窓を介してご確認いただくことは可能です。ただし、細胞培養加工士が培養や細胞の回収を行っている時間帯は、作業への集中を妨げるため見学をお断りしています。

6.本ページで扱う自由診療について(限定解除事項)