椎間板ヘルニアは自然に治る…pldd-doctor-blog

“椎間板ヘルニアは自然に治る”
と言われます。
これは事実です。
ただ、皆が皆そうなるかというと、どうもそうではないようです。

通常、椎間板ヘルニアによる症状は
2~3ヶ月程度の内服治療やその他の保存的治療によって
かなりの方が日常生活に支障がない程度までに改善します。
したがって、症状が出たばかりであれば
それがある特殊な症状でない限り
すぐに手術が選択されることはまずありません。
それは当クリニックでも同じで、まずは投薬などで改善を待ちます。
非常につらいのは重々承知でそうするのは心苦しいのですが
やはり最終的にはかなりの方が改善されます。

ただ、実際にはクリニックに来られる方のほとんどが
数か月以上、もしくは数年来の症状に悩まされている方です。
数ヶ月前、数年前の画像資料をみてみると
ほとんど変わっていないもしくは前よりもっと悪い
などといったケースも比較的多く見られます。

神経に限った事ではありませんが
組織を傷つける刺激が繰り返し続くと”治りにくく”なります。
神経は特にひ弱な器官なので
一旦傷つくと傷んだ神経が改善するのに非常に長い時間を要してしまいます。
外科的治療などでも時折みられる
“○○○は治ったけど、△△△は治らなかった”
というのは、その側面の一部を反映していると思われます。
つまり神経への傷害が長く続いたために
神経に回復不能な部分が生じてしまい
物理的には圧迫や傷害する原因が取り除かれているのに
症状が改善しなかったということです。

傷害要因を取り除くことによって
どの程度の症状が改善できるかを正確に鋭敏に予測できる方法は
今のところ残念ながらありません。
この点が予測と異なる結果が生じてしまう原因にもなっています。

神経の回復能力を考えると症状にもよりますが
病状が改善しないままいたずらに投薬やその他の代替治療で加療し続けるのも
良し悪しということがあります。

病状を評価して必要だと考えられるなら
リスクがあっても”その先の治療”に進む勇気と決断力が
医者にも患者さんにも必要な時があるのだと思います。