80代女性 下肢静脈瘤を放置して潰瘍になってしまった例varixlaser

印象に残る症例を時々ご紹介しております。今回の患者さんは、治療をせず放置していたら急激に症状が悪化してしまい、不安になってDクリニックに駆け込んできました。

82歳の女性で、数か月前に他院で治療を受ける予定でしたが、説明を聞いて怖くなり治療を放棄していたところ、皮膚が崩れて出血と痛みが激しくなってきてしまったそうです。

早速診察したところ、右下腿に比較的広範囲の潰瘍とびらんを認め、典型的な大伏在静脈領域の弁不全による静脈瘤がその原因と判断されました。

痛みが強く入浴もできないとのことだったので、急遽、血管内レーザー治療と潰瘍部の治療を実施しました。

使用レーザーは1470nmラディアル2リングファイバーを用い、潰瘍部には消毒の上、繊維芽細胞成長因子を噴霧しました。

他院で治療の説明を聞いて怖くなったくらいですので、当初患者さんは治療に対する不信感と不安をお持ちのようでした。しかし、Dクリニックのレーザー治療は恐怖感や痛みをできるだけ取り除くように麻酔方法を工夫しています。治療はまったくつらくなかったようで、手術後は笑顔が見られました。

術後1カ月の時点で、途中経過ではありますが、大伏在静脈の逆流は完全に消失し、静脈瘤と潰瘍はほぼ治癒しておりました。

※治療の特徴・リスク・費用はこちら


治療前             治療1か月後

治癒中のカサブタなどが皮膚にまだ付着しておりますが、今後しっかりと入浴時に足の洗浄をしていただければ急激に症状は良くなっていくはずです。

このように潰瘍を伴う静脈瘤は最重症例に分類され、治療が問題なく行われても回復に極めて多大の時間を要したり、回復が不十分になることがあります。下肢静脈瘤は放置すると徐々に悪化していきます。皆さんが潰瘍を発症するわけではありませんが、早期に治療に進むことをお勧めします。

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◆治療のリスク・費用◆
潰瘍を伴う重症な静脈瘤の治療

(特徴・リスク)
血管内照射術後に肉眼的な症状の回復には数か月~1年程度要します。
潰瘍の治療のために手術後の定期的な通院が必要です。

(治療費用)
保険適用レーザー
総額で25,000円(1割負担)~80,000円(3割負担)/片脚。

自費レーザーなど
総額が250,000~350,000円(税別)/片脚。

監修医師

院長名 阿保 義久 (あぼ よしひさ)
経歴

1993年 東京大学医学部医学科 卒
1993年 東京大学医学部附属病院第一外科勤務

虎ノ門病院麻酔科勤務
1994年 三楽病院外科勤務
1997年 東京大学医学部腫瘍外科・血管外科勤務

2000年 北青山Dクリニック開設

所属学会 日本外科学会
日本血管外科学会
日本消化器外科学会
日本脈管学会
日本大腸肛門外科学会
日本抗加齢学会