PLDD治療をご検討の皆さまへpldd-doctor-blog

当クリニックでPLDD治療を立ち上げてから現在に至るまで
本当にたくさんの方に受診していただいており
心より感謝申し上げます。

新しいHPになり、年度も新しくなりましたので
PLDDに興味が御有りの方に参考になるようなコメントを
いくつか上げてみたいと思います。

まずPLDDは椎間板ヘルニアの治療です。
したがって基本的には椎間板ヘルニア以外の疾患には効果は期待できません。
当クリニックを受診される方のほとんどは
“椎間板ヘルニア”だと他院で診断を受けて来院されるのですが
それ以外(骨や関節など)の問題が強い方、
はたまた椎間板ヘルニア自体がない方も比較的多くみられ、
椎間板ヘルニアが症状の主原因だろうと予測される方は
半分もおられないというのが実際のところです。
これは医療者側の問題なので大変申し訳ないと思いますが
効果が望めない以上、治療をお断りすることも”まま”あります。

当院を受診されたケースだけに限ると
椎間板ヘルニア単独で症状を起こしていると思われる方は
受診者全体の2割弱しかおられません。
これは受診された方の平均年齢が50歳前後であることも影響しているとは思いますが、
ほとんどの方が
骨が変形していたり、曲がっていたり、ずれていたり
といった問題を同時に抱えておられます。
そんな中、それぞれは重篤ではないけれど
それぞれがいろんな割合で影響しあい
結局非常につらい症状になってしまっておられる方が
相当な数いらっしゃるという現実に直面します。

一般的に外科的な手術は改善率が最も高い代わりに
合併症率やその後の体の影響は最も高くなります。
なので、開けてまで手術に挑むのは
医療者側もそれなりの根拠を持たないと
踏み切れるものではありません。
いわゆるrisk vs benefit balanceというやつです。
得られる利益(benefit)がrisk(危険性)を上回る場合に初めて
その治療を選択することが正当化されます。

いくつも問題を抱えているときに全てを一度にクリアできる治療が
最終的に手術になるのではないかということは
誰もが気づいていることだとは思いますが、
そこには治療自体、加えてその将来にも
ある一定の危険性をはらみなかなかGOを出せないでいるのは
患者さんも医療者側も同じです。

PLDDは椎間板ヘルニアの治療法なのですが
大きなヘルニアには効果は期待できません。
また椎間板の外殻構造(線維輪)が破綻して内容(髄核)が
外にあふれ出てしまっているものにも同様です。
要するに限られた病態しか改善させることができない治療法です。
…が、
手術までには至らない椎間板ヘルニアは治すことができます。
複数の病因があってもヘルニアは治すことができます。

非常にたくさんの方の治療を担当させていただき
もちろん満足いただける結果を上げられなかったケースもありますが
「手術するほどじゃないですね…なので、薬や注射(神経ブロックなど)で…」
と言っていた時に比べると、はるかにたくさんの患者さんの
症状改善に寄与することができるようになりました。

PLDDはメディアで取り上げられるような魔法の治療ではありませんが
“使い方によっては良い治療法の一つ”であるのは間違いないと断言できます。

複数の要因が絡む病態であってもヘルニアだけを治療することによって
こちらが驚くほど症状が改善される方がそれ相当数おられるということを
何度も目の当たりにするにつけまずはご相談いただければ
お力になれることもいくらかあるかもしれない
と思う今日この頃です。