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胸椎椎間板疾患に対する経皮的レーザー椎間板減圧術:10例における治療経験の報告report

背景

胸椎の神経障害をきたす椎間板ヘルニアや疼痛は、頚椎や腰椎に比し、あまり一般的ではない。こうした、胸椎の椎間板の異常に伴う疼痛では、通常、保存的な方法で様子を見ることが一般的である。しかしながら、こうした方法が奏功しなかった場合、従来から行われている椎体の癒合手術や椎間板の切除術が考慮されるが、これらの手技には著しい危険が伴う。

目的

本研究は、胸椎における椎間板疾患の治療における経皮的レーザー椎間板減圧術(PLDD)の有効性を評価するものである。

方法

保存的加療が奏功しなかった10例の胸椎の椎間板性疼痛の患者に対し、PLDDを行った。胸部の疼痛については、視覚的評価スケール(VAS)にて術前と術後6か月ごとに評価を行い、経過観察が短い場合でも18か月までは評価を行う。患者は、MRIでの異常所見と椎間板造影の陽性所見により、診断を受け、本治療の適応を検討した。著しい椎間板ヘルニアの患者は、本研究には含まれていない。

結果

経過観察期間は18か月から31か月(平均24.2カ月)であった。治療前のVASスコアーの中央値は8.5(5から10)で、最終経過観察でのVASスコアーの中央値は3.8(0から9)であった。術後の疼痛の改善は、信頼区間99%で有意であった。興味深いことに、患者は著しい疼痛の改善を認める群とほとんど改善しない群の2群に概ね分類できる。気胸や椎間板炎、神経損傷などの合併症は、可能性としてあり得るが、本患者ではこうした合併症は認められていない。

本研究の限界

本研究は、症例数が比較的限られており、比較対照群が存在しない。大きな比較対象研究を行うことができれば、今回の結果がさらに信頼性をあげることが出来ると思われる。

結論

PLDDは、保存的加療が奏功しなかった胸椎の椎間板性疼痛に対する、安全かつ有効な治療として、考慮される。

ジャーナル

Percutaneous laser disc decompression for thoracic disc disease: report of 10 cases :Int J Med Sci 2010