お知らせ|遺伝子治療の停止措置についてinformation

遺伝子治療の停止措置について        2025年8月

 この度は、遺伝子治療の一時停止を余儀なくされたために、本治療の継続が必要な患者さん方に多大なるご迷惑とご不安をおかけしますことを心よりお詫び申し上げます。

 当院で実施していた遺伝子治療(CDC6RNAi療法/CDC6shRNA治療)は、未承認治療であることから、2009年の提供開始にあたり、厚生労働省のご担当者に本治療を合法的に実施するための注意点を確認し、治療においては自由診療で実施すること、海外の製剤は厚生労働省地方支部局である厚生局の許認可の下で医師個人輸入で確保すること、を指示されました。以降、それに従って治療を継続してきたため法令遵守が担保されているとの認識でした。
 
しかるに、厚生労働省担当下の再生医療等安全性確保法の改正にあたって、その対応を確認するために受講した講習会で、遺伝子治療は、今後、再生医療等安全性確保法の管理下におかれるのみならず、環境省が主担当となるカルタヘナ法(遺伝子組換え生物等の使用等による生物多様性への影響を防止するための法律)の申請許可も必要である旨の説明を受けました。私共は、早速、両法への申請許可を得る手続きにかかるための作業を確認するため、厚生労働省担当部署に打診をしましたが、カルタヘナ法は遺伝子治療に対して以前より適応されており、本治療の提供は法令違反である旨の通知を受けました。

 既に、標準治療で十分に管理ができない進行再発がんや末期がんの多くの方々が、この遺伝子治療により命を繋がれていたため治療の中断ができかねることもあって、法律の申請許可が可及的速やかに得られるよう、正式に許可を得るまでは移行措置として治療継続が許可されるよう、当局に打診を重ねましたが、まずは法令違反に対する手続きが優先されるとのことで、今回の措置となった次第です。
 
私共はあくまで法令遵守の下での医療提供に注視してきましたので、今回の経緯は誠に遺憾であり不本意ではありますが、改めて法令遵守のために細心の注意を払い、本遺伝子治療を必要とする患者さん方のために可及的速やかにカルタヘナ法の申請許可を得て、本治療の早期再開が可能となるよう尽力いたします。

患者さんを始め、日頃より当院にご理解ご協力を賜っております関係各位には、このたび遺伝子治療を中断せざるを得なくなりましたこと、心よりお詫び申し上げます。皆様には多大なるご心配とご迷惑をおかけいたしますが、引き続きご支援ご鞭撻を賜りますよう、何卒お願い申し上げます。