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下肢静脈瘤治療において血管内レーザー焼灼術が最も優れていると報告されました ~ New England Journal of Medecine の掲載論文よりvarixlaser

現存の医学雑誌の中で、世界で最も長い歴史を誇り、また世界で最も広く読まれ、最もよく引用され、最も影響を与えている、インパクトファクターが最高位の医学雑誌 New England Journal of Medecine の直近の誌面に「下肢静脈瘤に対する治療法を比較した無作為化試験の5年転帰」に関する論文が掲載されました。

今回掲載された論文は、下肢静脈瘤の治療法として、従来の「ストリッピング手術」と昨今広く行われている「血管内レーザー焼灼術」や「エコーガイド下フォーム硬化療法」などについて、英国の11の施設で798例を対象に各治療の経過を比較の上、治療後5年経過時点で疾患特異的QOL(生活の質)、包括的QOL、費用対効果について調査したものです。費用対効果については参加者の治療費やEQ-5D質問票のスコアから算出した予足費用と質調整生存年(QALY)獲得モデルに基づいています。調査の結果、治療後5年における疾患特異的QOLは、血管内レーザー焼灼術またはストリッピング手術の方がフォーム硬化療法より良好でした。また、支払い意思額を1QALYあたり20,000ポンド(28,433ドル 日本円約330万円)とした場合、費用対効果確率モデルの大多数で血管内レーサー焼灼術が優れていました。すなわち、下肢静脈瘤の治療において、血管内レーザー焼灼術が最も優れていることを示す内容でした。

私達も、すでに2015年の日本静脈学会で、北青山Dクリニックにおける治療後7~9年の長期経過例を報告しています。

私達は、2000年に外来で実施するストリッピング手術を考案し、2005年に波長1320 nm、2008年に2000nm、2011年に980nm、さらに2014年に1470nmレーザーラディアル2リングファイバー及びRF(高周波)を導入し、今まで1,000例超の外来ストリッピング手術と10,000例超の血管内焼灼術を経験しています。この学会における調査対象は、2005年1月から2007年12月まで当院で下肢静脈瘤治療を施行した全症例、651名880肢でした。調査の内容は血管内レーザー焼灼術およびストリッピング手術を施行された患者さんの術前及び観察時における生活の質をAVVQスコアにより評価し、観察時の再発の有無・再発形態を両群で比較検討しました。結果、治療後遠隔期において、血管内レーザー焼灼術、ストリッピング手術共に生活の質は改善し、改善度は血管内レーザー焼灼術の方が優れていました。また、血管内レーザー焼灼術、ストリッピング手術共に相応に再発を認めましたが再発率に有意差はありませんでした。下肢静脈瘤に対する血管内レーザー焼灼術の長期治療成績は、当時は国内においても国際的にこの規模のものは公表されていませんでした。今回のNew England Journal of Medecine に掲載された論文の内容は、私たちがすでに確認していたものと矛盾しないものでした。

因みに、血管内レーザー焼灼術に用いられるレーザー機器は、それが初めて世界に登場した当初(20世紀末期)は治療成績が芳しいものではありませんでした。2005年以降に米国を中心に普及した波長1320nmのレーザー機器の登場以降レーザー治療による成績が劇的に改善しましたが、北青山Dクリニックが血管内レーザー焼灼術に着手したのはまさにその2005年で、国際的にも最も早い時期に信頼できるレーザー機器を導入し治療実績を残してきたと言えると思います。その実績を、以下の文献に掲載しています。

◆2016年6月 International Heart Journal
「下肢静脈瘤重症例に対する血管内レーザー焼灼術の安全性と有効性について」
◆2018年4月15日発刊 「手術」金原出版  「下肢静脈瘤血管内焼灼術について」

現在、最高波長2,000nm のレーザーによる血管内焼灼術を筆頭に、高品質の下肢静脈瘤外来治療の提供に心がける所存です。

監修医師

院長名 阿保 義久 (あぼ よしひさ)
経歴

1993年 東京大学医学部医学科 卒
1993年 東京大学医学部附属病院第一外科勤務

虎ノ門病院麻酔科勤務
1994年 三楽病院外科勤務
1997年 東京大学医学部腫瘍外科・血管外科勤務

2000年 北青山Dクリニック開設

所属学会 日本外科学会
日本血管外科学会
日本消化器外科学会
日本脈管学会
日本大腸肛門外科学会
日本抗加齢学会