下肢静脈瘤治療に波長2000nmレーザーを採用した経緯varixlaser

北青山Dクリニックでは、現存する下肢静脈瘤用のレーザー機器の中では最高波長である2000nmのレーザーを使用しています。
今回は、2008年にこのレーザーを導入した経緯について説明します。

当院は2005年7月から、波長1320nmレーザーを用いて下肢静脈瘤治療を行ってきました。1320nmレーザーは期待通りの治療効果で、2007年・2008年の国内外の学会でその成果を公表し、普及に取り組んできました。

しかし、レーザー治療を希望する患者さんが急増してきた2008年の中ごろから機器トラブルが起こるようになり、担当業者に対応してもらっていましたが、突然その修理依頼に応じなくなるという事態が発生したのです。

今でもその真相は不明ですが、私たちにとっては青天の霹靂で、窮地に追い込まれてしまいました。
それでもレーザー治療を希望される患者さんは増えており、代替機種を探すしかありません。

その当時は、波長810nmと980nmのレーザーがありましたが、いずれも1320nmのレーザーに比べると水(組織)に対する吸収率が小さいので治療効果が劣るという問題がありました。

すると、東大医学部血管外科の同僚が、波長2000nmのレーザーを下肢静脈瘤の治療に応用できることを大学で検証したということを教えてくれました。さらに、こちらの事情を理解し2000nmのレーザー機器を快く貸してくれました。そして2000nmのレーザー治療による血管内治療の安全性を、自分たちの手で実証することができたのです。その結果、波長2000nmのレーザーは、980nmはもちろん1320nmのレーザーよりも短時間で安全かつ確実に下肢静脈瘤の治療が行えることがわかりました。

実験の動画を編集しましたので、興味のある方はご覧ください。

すぐに、2000nmレーザーをドイツの製造本社から輸入し、最先端の下肢静脈瘤レーザー治療を再開することが可能となりました。

そういった経緯があるので、その時2000nmのレーザーを貸してくれた大学時代の同僚には感謝してもしきれない思いがあります。
彼は、現在池袋で開業し、下肢静脈瘤の治療を行っているのですが、今後もお互いに協力し、切磋琢磨する関係でありたいと考えています。

監修医師

院長名 阿保 義久 (あぼ よしひさ)
経歴

1993年 東京大学医学部医学科 卒
1993年 東京大学医学部附属病院第一外科勤務

虎ノ門病院麻酔科勤務
1994年 三楽病院外科勤務
1997年 東京大学医学部腫瘍外科・血管外科勤務

2000年 北青山Dクリニック開設

所属学会 日本外科学会
日本血管外科学会
日本消化器外科学会
日本脈管学会
日本大腸肛門外科学会
日本抗加齢学会