下肢静脈瘤治療で用いられる各種レーザーvarixlaser

北青山Dクリニックでは、下肢静脈瘤の日帰り根治手術を考案・確立 して以来、
最新最良の医療を日々心掛けるようにしています。

その最先端治療で用いられるレーザーはこの数年で進化を重ね、
現時点で使用されているレーザーの機種は複数存在します。

本来、下肢静脈瘤レーザー治療機器の性能を決める最も大きな要因は波長です。

すなわち、組織(水)に良く吸収される波長のレーザーほど血管との反応が強くなるため優れた治療効果が期待できます。

現在、980、1320、1470、2000nmの4種の波長のレーザーが治療に用いられており
波長が長いほど水吸収率が良いので、これらの中で組織に最も効率的に反応するレーザー波長は2000nmです。

そして、治療効率を反映する吸収率は、980nmのレーザーを1とすると、1320、1470、2000nmの各レーザーは、
それぞれ約15、40、300となり、2000 nmのレーザーが他のレーザーに比べて圧倒的に大きいことがわかります。

2014年5月に保険収載された1470nmのレーザーに比べても2000nmのレーザーは10倍近く水吸収率が大きくなります。

レーザー治療の効果に関わる要因として、波長の他に、ファイバーの材質・形状、出力モードなども挙げられますが、治療効果に関わる決定的な要因は波長です。

そして、治療を担当する医師の経験や判断力が最終的に治療成績に大きく影響します。

1320nmのレーザーは米国のクールタッチ社が2004年頃に日本で販売を開始したレーザーで、
パルス波なので皮下出血は少ないようですが、

その後のレーザーに比べて波長は短いため、組織への吸収率の点でベストのレーザーとは言えません。

クールタッチレーザー、第5世代のレーザーと呼称されることもありますが、波長1320nmであることに変わりはありません。

2005~2007年に北青山Dクリニックでこのレーザーを使用していましたが、その後はより高波長のレーザーに切り替えて治療を行っています。

1470nmのレーザーはラディアル2リングファイバーと呼ばれる工夫されたレーザーファイバーを標準装備して
980nmのレーザーより治療効果が高められたものです。

しかし、やはり治療効果を決める最重要因子である波長の点では最高機種ではありません。

保険収載されたため、患者さんの治療費負担が軽減されているという点が利点です。

一方、保険診療の制約もあり、複数の血管の処理を一回に行えない、改めて追加の硬化療法が必要になることが多い、初診当日に治療が行えない、など自由度が小さい点が指摘されます。

前回のブログでも書きましたが、その時点で最良の医療だから保険認可を得る訳ではありません。

現在、下肢静脈瘤の治療機器として保険認可を受けているレーザーは980nmと1470nmの2種ですが、
これらのレーザーは、いずれもドイツのCeram Optec 社のもので、日本を医療機器の有望な販売市場と見なし、
同社の日本の販売代理業者が投資をして治験を行ったことで許認可を受けました。

北青山Dクリニックは、これらの事情を冷静に評価して、保険収載されている1470nmのレーザーも治療に用いる方針ですが、保険診療に伴う制約もあるので、
術後の身体的負担や通院負担を最小限にすることを希望する方には、
引き続き最高波長の2000nmのレーザーによる高品質の治療を提供していく所存です。

監修医師

院長名 阿保 義久 (あぼ よしひさ)
経歴

1993年 東京大学医学部医学科 卒
1993年 東京大学医学部附属病院第一外科勤務

虎ノ門病院麻酔科勤務
1994年 三楽病院外科勤務
1997年 東京大学医学部腫瘍外科・血管外科勤務

2000年 北青山Dクリニック開設

所属学会 日本外科学会
日本血管外科学会
日本消化器外科学会
日本脈管学会
日本大腸肛門外科学会
日本抗加齢学会