術後10年経過例の治療満足度調査varixlaser

当院において下肢静脈瘤の日帰り根治手術を受けてから長期間経過した方の治療に対する満足度を調べるため、ダイレクトメールによる匿名のアンケート調査を実施しました。今までは、術後6カ月~1年経過例の調査が主でしたので、今回の術後8~10年以上の長期経過例を対象とした調査は画期的なものと言えます。
2000年10月から2003年12月まで当院で日帰りストリッピング手術を受けられた263名の方と、2005年7月から同年12月まで同じく日帰り血管内レーザー手術を受けられた55名の方を対象としました。ストリッピング手術は術後10年以上、血管内レーザー手術は術後8年以上経過した方々が対象ということになります(レーザーは波長1320nmを使用)。
調査の結果、ストリッピング手術は80%、血管内レーザー治療は90%の方が治療に満足しているということでした。調査にご協力いただいた方々にこの場を借りてお礼申し上げます。今後も、患者さんの声や満足度を重視して診療を進めていく所存です。
毎回、満足度調査を実施するたび、自分の手術治療に対する評価が明らかになると思うと、不安と期待で一杯になります。過去に、入院下でのストリッピング手術の長期経過例の再発率は40~60%にも及ぶという報告があったはずですので、上記の満足度の数字は決して悪くないと自分を慰めております。しかし、治療後の経過で満足が得られなかった方がいらっしゃるのは事実で、そのような方々にこちらでできるアフターケアを積極的に実施することが大切であるとも思っています。また、満足度が得られない理由の一つに、経過に関するこちらからの情報が患者さんに十分に届いていないことがあります。治療が順調に経過しても、下肢静脈瘤はしつこく症状が残存することがあり、部分的に再発したように見えることもありますので、定期的なアフターケア(残存静脈瘤に対する硬化療法など)を実施することが重要です。治療の満足度の低い方々の多くは、このアフターケア、経過観察が予定通り進められていない方々です。気になる症状が残る方は特に、定期的な診察を術後1~3年程度はしっかりと受けることが肝要です。
また、自覚症状がなく、順調に経過していると感じられていても、今回、調査対象となった方々は、是非一度診察にいらしていただければ幸いです。特に血管内レーザー治療の長期経過例は国際的にも貴重です。医学的見地から客観的に評価させていただきたいと思っています。
最後に、まだ日帰り根治手術の長期経過例がない時期に当院での治療を信頼して受けていただいた多くの方々に心より感謝の意を表します。

監修医師

院長名 阿保 義久 (あぼ よしひさ)
経歴

1993年 東京大学医学部医学科 卒
1993年 東京大学医学部附属病院第一外科勤務

虎ノ門病院麻酔科勤務
1994年 三楽病院外科勤務
1997年 東京大学医学部腫瘍外科・血管外科勤務

2000年 北青山Dクリニック開設

所属学会 日本外科学会
日本血管外科学会
日本消化器外科学会
日本脈管学会
日本大腸肛門外科学会
日本抗加齢学会