症例・治療事例CASE

再生医療

【再生医療】90代女性 動脈硬化(および慢性疼痛)に対する症例  12718

2021.11.06

治療前

治療前

治療後

治療後
ご相談内容 4~5年前に大学病院で腹部大動脈瘤(AAA)のステント手術の既往がある方。1年半ほど前に足指を怪我し、その後他院で皮膚移植をしたものの改善しませんでした。疼痛が強く主治医に足切断を勧められるもご本人は救肢を切望していました。

当院を受診した際には、潰瘍はほぼ改善していましたが、小指および親指側の疼痛と血行障害を認めました。その後、点滴治療、足浴などの通院加療で小指の疼痛はほぼ消失しましたが、親指側の疼痛改善に極めて難渋している状態でした。

そこで、閉塞性動脈硬化症による末梢循環障害の改善を目的とした自己間葉系幹細胞移植による再生医療で症状の改善を目指すこととなりました。
診断結果 足の潰瘍はほぼ改善した状態。小指側のみならず、親指側の痛みと、血行障害を認めました。動脈硬化を客観的に判断する以下の検査結果(5月)から、動脈硬化と診断、再生医療対象となりました。
*IMT(頸動脈の内膜中膜の厚さ):1.1mm以上でプラーク(病的な状態)と診断
*CAVI:数値が大きいほど動脈硬化の程度大
*ABI:1以下の場合は血行障害あり

【IMT/CAVI/ABI】
5月(カウンセリング時)検査
IMT(頸動脈内膜中膜肥厚度) Max1.2 Mean1.6
CAVI(動脈の硬さの指標) 11.9 12.7
ABI(下肢動脈の狭窄・閉塞の評価指標) 0.94 0.84

治療内容 ①カウンセリング後、検査にて動脈硬化の診断、再生医療の意思を確認し、同日、細胞培養のための脂肪採取および血清用採血を実施しました。
即日、院内の細胞培養室にて幹細胞分離に着手。分離培養後1か月前後で投与予定となりました。

② ADMSC(自己脂肪由来間葉系幹細胞)投与初回
総投与数 / 5,250万個
投与法: 経静脈的投与(点滴) および
局所注射(足背~足指基部 内外側にかけ10か所に分注)
投与直後より、足首、足先の外側、内側に重い痛い感じがするとのこと。
痛み止めを使用するほどでもないが、マッサージをすると楽になる感じあり。

③ 経過観察
初回投与の2日後に経過観察と足浴のため来院されました。「投与翌日は注射部位が痛かったが、今日は痛みを感じない。」とのこと。 左足1指内側、5指外側の圧痛が減退し、特に5指外側は殆ど圧痛なし。

④ ADMSC(自己脂肪由来間葉系幹細胞)投与2回目
総投与数 / 9,900万個
投与法:浅大腿動脈内へエコーガイドで送達、および
局所注射(足背~足指基部 内外側に10か所に分注射)
投与後、親指がジンジンするとのことで、鎮痛薬を内服する。3回目の投与も希望。

⑤ 経過観察、検査
2回目投与後の検査では、ABI、CAVIの動脈硬化症の指標が改善、ABIは1以上の数値となり、病的な状態を脱しました。

【IMT/CAVI/ABI】
7月下旬(2回投与後)検査結果
CAVI(動脈の硬さの指標) 11.5
(-0.2改善)
12.6
(-0.1改善)
ABI(下肢動脈の狭窄・閉塞の評価指標) 1.14
(+0.2改善)
1.02
(+0.18改善)


⑥ ADMSC(自己脂肪由来間葉系幹細胞)投与3回目
総投与数 / 9,300万個
投与法:浅大腿動脈内へエコーガイドで送達、および
局所注射(足背~足指基部 内外側に10か所に分注射)
※4回目の投与も予約されていましたが、別の疾患で入院治療が必要となり、治療を中断しました。
術後の経過や現在の様子 1回目の投与後から足指の疼痛は減退し、2回目投与の後の検査では、ABI、CAVIの動脈硬化症の指標が改善、ABIは1を超え、病的な状態を脱しました。今後も継続していく意思を頂いていましたが、入院により治療は中断、現在培養した細胞は冷凍保存で保管中です。
治療期間 2か月間で2回投与、その後1か月以上間を空けて3回目の投与。
費用 治療総額:約200万円(税別)
治療のリスク ・採血時:穿刺部疼痛、皮下出血、神経障害
・脂肪採取時:疼痛、感染、皮下出血、硬結、色素沈着
・培養時:培養遅延、汚染
・投与時:注射部痛、灼熱感、発熱、悪心、呼吸症状(血栓症)
・治療後:症状回復遅延、治療効果不足
※但し、適切な治療を遂行すれば重篤な有害事象が生じるリスクは
一般的な医療行為に比較して極めて低いと言えます。

同じ治療科目の他の症例を見る