レーザー治療の安全性

椎間板内構造を焼く(レーザーで蒸散させる)ことによって、椎体の支持力が低下するのではないかという議論もあります。

理論上はもちろんその可能性はあり得ますが、それは外科的治療であればどれであっても同じです。外科的治療は存在する構造物を壊したり除去したりすることで、困った症状を取り除こうとする作業だからです。

その中ではPLDDによる損傷は極めて軽微なものです。理論上はありうる構造上の低下の可能性ですが、少なくとも治療後の観察期間中にそのようなことに出くわしたことはありませんし、ほかの治療法との比較でより構造を脆弱にしているという臨床上の報告は見られません。

局所麻酔で治療が全く問題なく実施できることもPLDDがより安全であることの理由です。
PLDD終了後はベッド上で1時間ほど安静にしていただきますが、その後は歩行して帰宅できます。
現在、保険適用で低侵襲治療のひとつ経皮的内視鏡治療(PELD)も普及してきましたが、 この治療は飛び出した髄核を手術器具でむしり取るように除去する方法なので、それに比べるとPLDDの体へのダメージは極めて小さいと考えます。また、PELDは比較的大きなヘルニアにも対応できるメリットはありますが、全てのヘルニアに高い有効率があるわけではなく、相応の合併症が発生するリスクはあります。よほど適応外でない限り、可能であればPLDDを治療の最初の選択肢と考えるのが理想と考えられます。