遺伝子治療CDC6 RNAi 療法の存在意義cancergenetherapy

CDC6 RNAi 療法は、原則として標準治療が適応にならない進行がん、再発がんの方を治療対象にしています。

当院では2009年から臨床現場で使用していますが、定期的に治療薬の改良を重ね、効果は大幅に高まってきました。CDC6 RNAi 療法は、標準治療で症状が改善しない症例であっても症状改善が期待でき、重篤な副作用がないので、進行がんの方も生活の質を落とさずに治療が継続できる「尊厳あるがん治療」として大切に育んでいます。そして、標準治療である手術、放射線治療、化学療法に特に影響しないので、 それらの治療を補完する治療として併用することができます。

昨年11月と本年2月に、臨床及び研究分野で活躍されている専門医が集う研究会でCDC6 RNAi 療法に関して講演する機会がありました。未承認薬による治療に関しては、慎重な評価が必要で、その取扱いにおいては繊細に配慮を重ねるべきという見解において会に参加された医師の意見は一致しました。また、多くの専門医の方から大変期待値の大きい治療であるという評価も頂戴しました。中には進行がんの治療にとどまらず、予防治療としても応用できるのでは、という非常に前向きな意見もありました。
このように各専門医の先生方と議論をすることができたことで、改めて、遺伝子治療の中で私達が高く評価しているCDC6 RNAi 療法の存在意義を、日本の現状に鑑みて評価し直すことができました。 日本の医療は国民皆保険制度を基本とし、高品質の医療を国民が標準的に享受すること が出来る点では国際的に高く評価されます。一方で、混合診療禁止などの規制もあることから、保険適用外の診療においては科学的妥当性や国際的に高い治療効果が認められるものであっても国内の臨床現場では行いにくい現状があります。
また、1980年以降、日本人の死因一位は悪性新生物(がん)であり、年齢調整死亡率で は、がんの死亡率は収束の傾向にありますが、スキルス胃がんや膵臓がんなど難治がんは 依然存在します。そして、社会の中核で機能する世代で特にがん死が目立ちます。さらに 、定期的な検査を受けていたにも拘らず進行がんを発症する方も相応に認められます。
さらに治療現場においては、進行がんの治療のゴールを何に設定するかという点で、医師と患者側とでは意識の乖離が見られることがあり、その治療において患者側の尊厳が損なわれることがあります 。 そのような背景のもとで、CDC6 RNAi 療法は、進行がんの方であっても大きな副作用で 苦しむことなく、生活の質を落とさずに治療効果を得ることが期待できる点が評価されます。これからの医療として期待されるprecision medecine、免疫医療、CAR-T細胞療法、そ して光免疫療法の限界を補完する可能性もあります。