入院施設が必要?varixlaser

従来から入院治療が必要と考えられていた(今でも多くの病院が入院管理下で行っている)下肢静脈瘤の根治的ストリッピング手術は、今では日帰りで施行するのが何ら珍しいことではなくなっています。

1998年に私が外来で下肢静脈瘤のストリッピング手術を恐らく初めて行ったと思いますが、それ以来、複数の医療機関で外来ストリッピング手術が行われるようになって来ました。

標準的な手技を持っている血管外科医が慎重に手術をすれば、入院施設を準備しないで何ら問題なく日帰りで下肢静脈瘤の根治手術が可能であることが認識され出しています。

従来から、日本の医療機関は、病院を経営していくために、入院患者をいかに確保するかに注力しています。

そして下肢静脈瘤のストリッピング手術は入院が必要な、腰椎麻酔(下半身麻酔)や全身麻酔が必要とされてきました(今でも多くの病院の常識がそうです)。

そのために下肢静脈瘤ストリッピング手術を外来で行うという発想は、育まれてきませんでした。一方で下肢静脈瘤に悩む患者さんたちは入院という時間的経済的負担をかけてまで治療をするのに憚りがあり、なかなか治療に踏み込めずにいました。それが麻酔を工夫する(静脈麻酔や局所麻酔を応用する)ことにより外来で行えるようになって、多くの患者さん達が治療に踏み切ることができるようになりました。

10年前に外来で初めて日帰りストリッピング手術を行った時は、術後のトラブルが発生した時のために、バックベットとしての病院を確保する必要があると判断していましたが、以来、数千例の日帰りストリッピング手術で術後トラブルのために入院を必要とした例は一例もありません。これだけの数の手術が問題なく行われていることを考えれば入院施設を伴わなくても安全に行うことができると判断しています。

もちろん医療行為には100%ということはありませんが、前述したように標準的な血管外科医が慎重に治療を行えば、何ら問題なく外来で下肢静脈瘤のストリッピング手術を行うことはできます。私のほかにも最近では何人かの先生方が同じように問題なく日帰りストリッピング手術を行っています(むろん入院施設を持たずに)。

最近、「入院施設がないのに日帰り手術をするのはどうなのか。」という、いまさらの質問が一般のドクターからあったり、古いレーザーを使っているにも拘らず最新レーザーを使っているように情報を流している医療機関があったり、両脚の静脈瘤は入院治療が必要だ、と誤解を招く情報を流している日帰り手術センターがあったり、気になる点が多かったものですから、長々と所感を書き連ねてしまいました。

先日、両足の静脈瘤の日帰り手術を受けるために九州から一念発起してわざわざ上京してきた88歳のおじいちゃんが相談にいらっしゃいました。聞けば、東京の下肢静脈瘤専門病院で治療(日帰りもしくは入院で)をしてもらうためにわざわざ来たのに、心臓が悪いからという理由で手術を断られたとのこと、Dクリニックで何とかしてもらえないかという話でした。こちらで調べた所、確かに88歳に相当する心臓機能の低下はありましたが、日常生活を問題なく行っているしっかりとしたおじいちゃんでしたので、ストリッピング手術でもレーザー治療でも問題なく行える旨をご説明した所、非常に喜んでレーザー治療を受けて(もちろん日帰り外来手術)元気に戻られました。後日、九州からお礼のお電話を頂戴し非常に満足感を覚えたのを思い出します。同じように入院施設を持つ医療機関で断られて、Dクリニックで治療をしたケースが何例かあります。

Dクリニックは開院以来8年間入院管理施設を持たずに、下肢静脈瘤の日帰り手術を問題なく行ってきております。

下肢静脈瘤に悩み続けているのに治療に踏み込めない方々、どうぞご安心の上ご相談にいらして下さい。

監修医師

院長名 阿保 義久 (あぼ よしひさ)
経歴

1993年 東京大学医学部医学科 卒
1993年 東京大学医学部附属病院第一外科勤務

虎ノ門病院麻酔科勤務
1994年 三楽病院外科勤務
1997年 東京大学医学部腫瘍外科・血管外科勤務

2000年 北青山Dクリニック開設

所属学会 日本外科学会
日本血管外科学会
日本消化器外科学会
日本脈管学会
日本大腸肛門外科学会
日本抗加齢学会